増税、コロナ禍、物価高騰...それでも「子供のお腹と心を満たしたい」 苦境にも工夫で対抗、駄菓子メーカーの生存戦略

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終売、値上げの決意

   チーリン製菓は22年2月、一部商品の値上げを発表した。その理由について小菅さんは次のように説明する。

「今年9月にカラーペンチョコ、ボトルサワー、カンパイラムネ、そしてゴーゴーパイポチョコを30円から40円に値上げさせていただきました。主な理由は、容器資材の値上がりによるものです。他の商品についても、容器だけでなくチョコレートを作る原料の値上げや円安による仕入れ価格の上昇があり、社内努力によるコストカットだけでは到底追いつかないところまで来ています」
値上げした4商品
値上げした4商品

   全ての商品が厳しい状況にあったが、特に容器資材のコストを削ることが難しい4つの商品の値上げを決断。あわせて、社内の生産性の向上を目的にパイポチョコをゴーゴーパイポチョコに統合した。

   パイポチョコシリーズの値上げは今回が初めてになる。福井氏は、「今回はもう限界だった」と漏らす。

「容器の厚みを減らしたり、機械を変えてランニングコストを下げたり、できることには取り組んできました。協力してくださる仕入先企業様も、何十年も同じ価格で製造し続けることには耐えられないとのことで、今後も子どもたちの喜ぶ駄菓子を安定供給するためにも値上げは避けられませんでした」

   値上げの発表の直後には、ロシアがウクライナへの侵攻を開始。原材料はさらに高騰していく。小菅さんは、状況によっては今後ほかの商品も値上げする可能性があるとしている。

   子供たちがわずかなお小遣いで購入できるよう、低価格帯を守ってきた駄菓子。やむを得ず値上げをすることになってしまったが、福井氏は価格以外の魅力を伝えていくと意気込む。

「昔は駄菓子屋さんが遊び方などを伝えてくださりましたが、現在の流通システムは値段の競争が激化しています。どちらが安いか、どちらの量が多いかという限られた側面で見られがちです。
世の中にはお腹を満たすお菓子はいくらでもありますが、それに加えて可愛らしさや面白さなど『心を満たす』という価値も感じていただきたいと考えております。幅広い世代から親しまれている駄菓子は、親子とのコミュニケーションツールにもなります」
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