なぜ2種類のパイポチョコを製造し続けたのか
軽減税率の導入から約3年、チーリン製菓はゴーゴーパイポチョコとパイポチョコの2種類の製造を続けた。福井氏は「正直に言えば、2種類を製造、販売するのは非常に大変でした」と振り返る。なぜ2つの商品を共存させたのか。
「消費税率が10パーセントに引き上げられた、旧来のパイポチョコも売りたいという声も寄せられていました。我々メーカーがすべての小売店の状況を把握するのは難しいですし、とにかくお客様に求められたものは供給を続けたいという思いがありました」
しかし2品を供給し続けるのは手間がかかるため、売り場が落ち着いたころには1つの商品に収束させていく必要があると考えていたという。そんな中、日本でも新型コロナウイルス感染症が拡大していく。
コロナ禍は駄菓子メーカーにどのような影響を与えたのか。福井氏によれば、20年3月ごろは「瞬間的に売れた」という。一斉休校によって外出の機会が減った子供たちが購入したためだ。しかしそれも長くは続かない。次第に小物は売れにくくなり、お徳用の大袋に入った商品が売れるようになった。
「さらに新型コロナウイルス感染症が拡大していくと、スーパーにはできるだけ少ない人数で、短時間で買い物をするよう呼びかけられました。売り場に子供が訪れなくなったことで、小物類の売り上げが下がっていきました。また運動会や遠足、夏祭りなどイベントごとでの需要も大きかったため、こちらも影響を受けました。
このようなコロナ禍であえて売りを減らすようなことはできず。パイポチョコのように、逆に手がかかることをしてでも、求める人のもとに供給し続けることを大事にしてきました」