横浜市内の横浜港大さん橋で趣味のビデオ撮影などをしていたら、警備員に連行されて3万円を支払わされたと、写真家がツイッターで苦言を呈している。
大さん橋の撮影規約では、有料となる撮影などは申請が必要だとしており、管理事務所では、「無理やり連れて行ったことはなく、申請がなかったので声をかけてお願いしました」と取材に説明している。
「プロは休日にカメラを使うと仕事になるのか?」と疑問視
ツイッターで訴えたのは、写真家の男性だ。
男性は2022年10月9日、大さん橋で前日の8日に趣味の撮影をしたところ撮影料の支払いを求められたとして「プロは休日にカメラを使うと仕事になるのか?」と疑問を投げかけた。
投稿では、料金について「ブライダル動画2万円で、趣味撮影なのに3万円」だったとも指摘。カメラやビデオ数台の写真も投稿しており、「機材量が多くて目立っていた」とはした。
橋に到着して10分後ぐらいに警備員に呼び止められ、管理事務所では「即現金3万円払うか、データすべて消して下さい」などと言われたといい、「もっと優しい対応希望」とつづった。撮影料などの券売機の写真も投稿しており、これで支払ったらしい。
大さん橋の撮影規約によると、有料となる撮影に当てはまる場合や無料でも一定の場所を一時的に排他的、独占的に使用する場合などは、申請が必要となる。 有料となる撮影については、何らかの収益を得る目的で利用する場合やテレビ番組、ドラマ、動画配信サイトなどのために撮影する場合、プロのカメラマンによる各種記念撮影、商業目的でSNSに使用する場合など、いくつか挙げられている。
撮影料については、写真は4時間まで1万5000円、ビデオは同3万円などとなっており、男性の場合は、ビデオ撮影と判断されていた。婚礼の場合は、お祝い特別料金として、写真1万円、ビデオ2万円と割引額で設定されている。
ただ、コンパクトカメラやスマートフォンなどによる少人数のスナップ写真で、宣伝・広告などに二次利用しない撮影は無料だとしている。
「撮影内容を確認して有料と判断した」と管理事務所は説明
国際客船ターミナルになっている大さん橋は、横浜市の施設で、横浜港振興協会が市の指定管理者になっている。
男性の撮影行為について、大さん橋管理事務所の撮影担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、イベントなどでも見られるカメラ趣味の一般客とは違い、プロが持つような大型の機材を使い、モデルらしき女性を撮影しており、「規約に定めた申請を出されていなかったので、お声かけさせていただきました」と説明した。
「無理やり連れて行ったわけではなく、連行といったツイートの内容は遺憾です。撮影内容を確認しまして、有料となる撮影に当たると判断しましたので、お支払いをお願いしました。『支払いたくない』とのことでしたので、データを消してほしいとお願いしたところ、『消せない』との話でした。商業目的の可能性がありましたので、再度お支払いをお願いして、納得していただきました」
有料となる撮影としたのは、一定の場所に一定時間留まって各種記念撮影をしていたことや動画配信サイトのための撮影、商業目的でのSNS使用といった規約に当てはまることを総合的に判断したからだとしている。
撮影に申請が必要だったり有料になったりするのは、場所を占有などすると一般客に迷惑がかかるためだとし、他の商業施設の規約と同様の考え方に基づいていると説明した。一般客に許可を取っていることを知ってもらうため、撮影中は貸し出した旗を立て腕章を着けてもらっているとした。
写真家「イベントで注意されたことはなく、許可はいらないと解釈」
事前に撮影を申請していなかったことについて、男性は10月12日、取材に対し、横浜の「みなとみらい21」地区で毎年行われているオフィス全館点灯イベントで、ミラーレスカメラを使ったり、三脚を立てたりしたときには、注意されたことはなく、大勢の人たちも同様にしていたため、申請して許可をもらわなくてもいいと解釈したと答えた。
10分間の撮影でなぜ撮影データを消去しなかったのかについては、データのあるカードには、他のデータがたくさんあり、フォーマットをしたくなかったからだと説明した。
男性は、「Twitter の内容に誤解している人が多い」として、投稿した理由について、「3万円払ったけど、何でブライダルより高いのかと言う点が腑に落ちませんでした。公共施設でブライダルが優遇されている点」だと強調した。また、許可はいらないと解釈したが違っていたため、「大桟橋で写真を撮る方に気をつけてとの意味合いでツイートしました」と述べた。
大さん橋に来たのは、場所はどこでもよかったが、休日に友人と一緒にiPhone 14 Proのカメラ性能を別のカメラと比較するため、知り合いの女性を撮らせてもらったとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)