「これ僕の家です」「勝手に広告にされては困ります」――。自宅の写真を住宅関連会社のネット広告に無断かつ誤解を招く形で使われたとして、被害者が怒りをあらわにしている。
広告主は取材に不手際を認めるも、写真は素材サイト「スナップマート」で購入したと明かした。なぜ権利侵害をしたとみられるコンテンツが出品されているのか運営会社に問い合わせているという。
「月5万円台で、庭付き4LDK建てちゃった」
被害者のツイートや取材への回答などによれば、経緯は次の通り。
問題の広告は、フェイスブックのメッセンジャーとインスタグラムで2022年10月10日から配信されていた。
「月5万円台で、庭付き4LDK建てちゃった」「このクオリティで月5万円台は最高」。こんな惹句とともに、立派な一戸建ての写真が使われている。
広告主は、ある注文住宅の比較サイト。広告には「スマホで自分専用の間取り作れるからみんなも1回やったほうがいい」と記されている。広告制作者が同サービスを利用し、写真の戸建てを建てたと受け取れる内容だ。
押下すると専業主婦を名乗る人物のブログに遷移し、"ママ友"に勧められたという同サイトを通じて、念願だった注文住宅を手に入れたと主張していた。
しかし、写真は無断使用だった。ツイッターユーザーが2022年10月11日、「これ僕の家です」「勝手に広告にされては困ります」と被害を訴え、「しかも月5万って...100年ローンとか組まれました??」と広告文は虚偽だと知らせた。
この投稿者は、21年12月に「最高すぎるマイホーム完成」との書き込みとともに全く同じ写真をツイートしていた。施工を担当した建具店も騒動を受け、SNSで「勝手に全く関係のない他社様に写真を掲載されました。この会社様と私どもはお取引ございませんのでご注意願いします」と声明を出した。
広告は11日夜にはメタ(旧フェイスブック)社の広告ライブラリで確認できたが、12日昼までに削除された。
広告主の見解
前述の注文住宅比較サイトを運営するA社に12日、取材を申し込むと、不手際があったと認めた。
広告はアフィリエイトと呼ばれる仕組みで出稿したという。アフィリエイターと呼ばれる個人や企業が広告主の商品を記事などで宣伝し、指定サイトへの送客数や利用数に応じて制作者は報酬を得る。
写真は、上場企業「ピクスタ」の子会社が運営する写真販売サイト「スナップマート」でアフィリエイターが購入した。しかし、著作権侵害の疑いが強く、A社は同サイトに販売の経緯を問い合わせているとする。
実際の販売ページを確認すると、全く同じ写真が330円で出品されていた。撮影時期は22年5月と明記してある。出品者のページではそのほか、被害者が21年12月にツイッターに投稿したマイホームの別の写真も売っていた。写真は12日夕までに販売ページからすべて削除された。
A社では、アフィリエイターに第三者の著作物を無断で使わないよう指示しており、問題がないか定期的に確認しているという。しかし、「チェック後に数値などを変える人も中にはいらっしゃるので、後追いになっている部分はある」と万全ではないようだ。
一方、スナップマートはアフィリエイト広告への素材使用について、「被写体が特定の営業、商品もしくはサービスを利用等しているような印象を与える使用」を禁止している。A社は「ちゃんとした写真を載せてくださいとアフィリエイターにアナウンスはしているのですが、今回はこういう結果になってしまった」と話す。
スナップマートの見解
スナップマートをめぐっては、過去にも出品写真の不適切な広告利用が発覚していた(詳報:第一三共ヘルスケア商品で「不適切広告」発覚 事前チェックで不備...「再発防止に努める」)。
運営会社に見解を質すも、期日までに回答はなかった。回答があり次第、追記する。
なお、ツイッターでは、今回の騒動を問題視するユーザーに対し、「現在事実関係確認しており、対応も検討中です」とリプライ(返信)している。
(2022年10月13日16時追記)スナップマート社は13日、J-CASTニュースの取材に「関係者の皆様に多大なるご心配をおかけいたしましたことを、お詫び申し上げます」と答えた。回答の詳細はこちら「自宅写真が虚偽広告に?騒動受けスナップマートが謝罪 被害者の告発で発覚...関係者には『厳正に対処』」