福岡市の高島宗一郎市長(47)の3期12年の任期満了にともなって行われる市長選(2022年11月6日告示、20日投開票)で、与野党一騎打ちの構図が事実上固まった。
高島氏が10月11日に4選出馬を表明する一方で、出馬が内定していた「市民連合ふくおか」事務局長の片山純子氏(65)が出馬を撤回。すでに立候補を表明している前立憲民主党市議で無所属の田中慎介氏(44)の支援に回る。高島市政では市が「元気」になっていることが強調されるが、田中氏は「そこに市民の姿は全く含まれていない」などと批判している。政党色を薄めた選挙戦を目指すとみられるが、短期決戦でそれがどう変化するかも焦点だ。
「大企業中心の大型開発を市民中心で」など8項目の政策協定
高島氏が4選出馬について沈黙を守る中、田中氏は9月20日に出馬を表明。共産党やれいわ新選組の支援者が名を連ねる市民団体「福岡市から政治をかえる会」は、片山氏の擁立を決めていた。
10月11日に「かえる会」と田中氏が会談し政策協定を締結。「かえる会」は片山氏の擁立を取りやめ、田中氏を支援する。協定は「大企業中心の大型開発を市民中心で見直します」「市民の生活を底上げし市民が元気な街にしていきます」「ジェンダー平等を推進する政策を行います」など8項目にわたる。
協定締結直後の記者会見で、片山氏は
「市政を変えなきゃいけないという思いを持っている人たちの力を何とか浮き彫りにすることによって、勝ちに持ち込みたい。いろいろな政党が絡んでいるが、私たちは政党中心の団体ではない。あくまでも市民を中心とする団体だ」
などと話した。立憲本部は田中氏の推薦を決めているが、田中氏は
「無所属という立場であらゆる政治信条を超えてこの市政を変革していく」
「私の口からは与野党が対決するということを一度も申し上げたことはない」
と話し、政党色を薄めて選挙戦に臨みたい考えだ。
公約の「柱」は「早ければ今週中のどこかで」
田中氏は、福岡市が「元気」である指標として市側は「観光客数」「国際会議の開催数」「誘致企業数」の3つしか示さないとして、
「そこに市民の姿は 全く含まれていない。その問題意識に触れて危機感を大きくした。そして今回の立候補に至ったというのは、非常に大きな点」
「今の市政が言う『元気』と私が言う『元気』は根本的に、全く違う」
などと主張。田中氏が主張する「元気」の定義を問われると、
「市民一人一人がしっかり豊かに、心も暮らし豊かに、そして元気に、いきいきと一人一人の市民、そして地場の事業者の方々がしっかりと、はつらつと生き生きとした暮らし、働きができる、私はそんな町を作っていきたい」
と応じた。
都心部のビル建て替えを促進する「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」についても、「言ってみれば、実はビルの建て替えに過ぎない」と批判。現行の進め方では事業者やオフィスに勤務する人の空間になってしまうとして、建て替えによる容積率緩和で生まれる空間について
「オフィスではなく市民が共有できる空間にしていくことを大事にしたい。市民が憩いたくなる、来たくなる都心づくりをしっかりとやっていく」
と話した。
ただ、公約については
「今、まさに鋭意練っているところ。全体をお示しできるかどうかは別として、その柱となる部分については、早ければ今週中のどこかで(示したい)」
と述べるにとどめた。
一方の高島氏は、市議会が閉会した10月11日夕方に4選出馬を表明。
「次の世代が収穫できるような大きなビジョン、種をまく時だと思っている」
などと話した。公約は改めて発表する予定だ。市議会与党会派の自民・公明は、選挙の支援について検討する予定だ。
2人以外にも、会社員で新人の熊丸英治氏(52)も出馬の意向を示している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)