人気バンド「フリッパーズ・ギター」の前身である「ロリポップ・ソニック」のカセットテープが、150万円で落札されてファンの度肝を抜いている。
「めったに市場に出ることはない」
ロリポップ・ソニックは1987年に小山田圭吾さん、小沢健二さんらによって結成された。89年にフリッパーズ・ギターに改名し、91年に解散。活動期間は短いものの、東京・渋谷を中心に流行した音楽ジャンル「渋谷系」の一翼を担った。
中古レコードショップ「ココナッツディスク」吉祥寺店は2022年10月2日、ツイッターで「レアもの出品致しました」としてロリポップ・ソニックの自主制作カセット「Favorite Shirts」をオークションサイトに出品したと投稿した。
開始価格は6万円。出品ページでは「コピー品なども存在するようですがこちらはmaxellのUDIを使用したオリジナル正規品となります。確認のため一度再生させていただきましたが非常にクリアな音質で、コピー品ではないことが実感できました」とし、「日本のポップスの歴史を考えても非常に重要な作品といえると思います。現存する数を考慮してもめったに市場に出ることはないと思われる逸品です」とカセットの希少性を伝えている。
フリッパーズ・ギターをプロデュースした、音楽プロデューサーの牧村憲一氏は20年9月、「色々偽物?が出回っている,ロリポップソニックの自主制作のカセットテープですが(中略)UDI 30が手売りされた本物です」とツイートしていた。
同じ商品は、CD・レコード販売の「ディスクユニオン」大宮店でも2018年に販売されていた(すでに売り切れ)。店の当時のブログでは「激レアテープが入荷!」と紹介し、「その後リリースされたフリッパーズ・ギター1stの音源とはアレンジが違います!滅多にお目にかかれません!ファン必携!」とアピールしていた。
215件の入札の末に...
10日の終了日までに215件の入札があり、最終的に151万1000円で落札された。
音楽ファンからは「驚愕の落札価格」「購入した人は本気度が桁違いすぎる」「これからもっと価値出そう」とツイッターで注目を浴び、maxell UDIを製造していたマクセルは「自主制作のカセットテープとしてはとんでもない落札額ですが、マクセル『UDI』使用というのはありがたいことですね」とコメントした。
小沢健二さんも11日、「これはJ-pop史に残る出来事かも」と書き込んだ一般ユーザーのツイートを引用し、「あ、初期オザケン文字」と自ら手書きしたカセットのラベルに言及。「万年筆で書いてるあたりが、いかにも東大文系一年坊でくすぐったい。あと今見ると、英語が自信なさそう。まぁ、それでいいのです」と回顧し、「人の声って、年齢や生活の状況で変わっても、同じ人とわかる。文字もそう。変わっていくけど、同じ。ふしぎなもの!」と感慨深げだった。