20歳の時に事故で右手と両足を失った山田千紘さん(31)は「身体障害者手帳」をいつも携帯している。「障害の証明書」として日常生活でも提示する場面は多数。享受できるサービスも多く、ありがたみを感じているという。実際、どんな時に使うのか。自身にとって手帳はどんな存在なのか。山田さんが語った。
【連載】山田千紘の「プラスを数える」~手足3本失った僕が気づいたこと~ (この連載では、身体障害の当事者である山田千紘さんが社会や日常の中で気づいたことなどを、自身の視点から述べています。)
手帳の存在はとても大きい
手足を切断して1か月と少し経った後、身体障害者手帳を発行してもらいました。障害には等級があって、僕は右足の下腿切断が4級、左足の大腿切断が3級、右腕の肘上切断が2級で、総合して最も重度の1種1級です。
障害者手帳は運転免許証みたいなカードになっています。僕は東京都発行で、他の道府県の手帳がどういう見た目か分かりませんが、大きくは変わらないと思います。表面には顔写真と氏名、住所、生年月日、交付年月日、障害等級など、裏面には具体的な障害の名前がそれぞれ書かれています。専用のカバーに入れて持ち歩きます。
僕にとって障害者手帳の存在はとても大きいです。「身体障害の証明書」として提示を求められる場面は数多くあり、使うことが多いので毎日携帯します。持っていることで受けられるサービスはたくさんあります。
たとえば電車、バス、タクシーなどの料金が割引になります。僕は外出で義足を履いていて、今となっては大体の場所を歩けるようになったけど、移動が難しい場所もあり、公共交通機関に助けられることは多いです。他にも美術館や博物館の多くが入場無料になったり、遊園地やディズニーランドなども割引価格になったりします。他にも僕が知らない割引サービスなどがたくさんあると思います。
この体になってから社会復帰するまでの間にも、障害者手帳に助けられることは多かったです。義足や車いすは、手帳を持っているから補装具費支給制度を利用でき、小さい負担額で買うことができました。通っていた障害者向けの職業訓練校も、無料だった自動車教習所も、手帳があったから利用できました。障害者雇用枠で就職した会社も、手帳がないと応募できませんでした。