世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者が2022年10月7日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で開いた記者会見に対して、教団側が会見中止を要求し、壇上で元信者が反論する場面があった。
会見を開いたのは、旧統一教会信者の両親のもとで生まれ、後に脱会するまで教団の活動に参加していた、いわゆる元「2世信者」の小川さゆりさん(仮名)。小川さんは過去にストレスで精神疾患を患ったことを明らかにしている。教団側は、両親の署名入りのファクスを特派員協会に送り、小川さんが「多くの嘘を言うようになってしまっている」と主張して会見の中止を要求した。小川さんは、夫と出会った4年前の時点で症状は治ったとしており、両親に奪われた200万円が返金されていないことを指摘しながら、「自分とどちらが悪なのか」「私が正しいと思ってくださるなら、どうかこの団体を解散させてください」と訴えた。
教団側主張「多くの嘘を言うようになってしまっている」
小川さんは、「2世信者」が受けている被害の実態をアンケートの結果をもとに紹介しながら、(1)高額献金の規制(2)団体の規制・解散(3)虐待を受けている子どもを守る、といった立法措置を訴えた。さらに、教団側が政治家の権威を利用しているとして、政治家の行動基準を法律でルールとして定めて欲しいとも話した。
会見終盤、事務方から壇上の司会者に紙が差し入れられ、中止要求が明らかになった。会見に同席していた小川さんの夫が読み上げた文面によると、
「彼女(小川さん)が言っているように精神に異常をきたしており、安倍元首相の銃撃事件以降、この症状がひどくなってしまい、多くの嘘を言うようになってしまっている」
として、会見の中止を求める内容だ。
特派員協会の担当者によると、中止要求は日本語と英語で、ファクスで届いた。会見当日、会見が始まる前に届いたとみられるが、担当者が気付くまでに時間がかかり、会見中に内容が紹介されることになった模様だ。
小川さんや特派員協会側は中止要求に応じず、会見を続行。司会者が「次の質問にしましょうか?」と進行を続けようとすると、小川さんは「ちょっとしゃべらせてください」。アルバイトでためた200万円を両親に奪われた経緯と、過去に患った精神疾患について説明した。
「そもそも両親は、私にお金を『必ず返すから貸して』と言って、200万円近く給料を取ってきました。渡さなかったときには、職場まで来て、そして、渡すまで職場から帰りませんでした。そしてそのお金は、張本人からは1円も返ってきていません。そういったことが積み重なって、私は精神を病みました。断定はされていませんが、解離性同一性障害、自分の人格がおかしくなってしまう、そういう病気でした」