プロフィギュアスケートの羽生結弦さんが2022年12月2、3日に青森県八戸市で開催するアイスショーに合わせ、同市のホテルが開催日の予約を一方的にキャンセルし、同日の宿泊料金を高額にして販売したとの情報が拡散し、SNS上で批判的な声が相次いだ。
一連の流れに対し、名前があがったホテルは10月6日、宿泊価格の高騰は事実だと認めつつも、一方的に予約をキャンセルしたという事実はないと否定した。一方、別の現地ホテルは取材に対し、「想定を上回る予約があって、キャンセルがあったのは事実です」と明かす。
一方的な予約キャンセルについて、ホテル側は完全否定
男子シングルで14年ソチ、18年平昌と五輪連覇を達成し、プロに転向した羽生さんによる初単独アイスショー「プロローグ」の開催が決まり、横浜公演は22年11月4、5日に、八戸公演は12月2、3日に開催されると発表された。
この発表を受け、八戸市内にあるホテルに予約が殺到。ツイッター上では、宿泊料金が値上がりしたとの投稿が見られた。また、予約サイトのサーバーダウンで予約がキャンセルされたとするツイートも複数投稿された。
こうした中「ホテルセレクトイン八戸中央」が10月5日頃からSNS上で話題に。一連の流れをまとめたツイッター上の投稿が拡散し、同ホテルに対して「これはひどい」「一生泊まらない」などと批判の声が相次いだ。
騒動を受け、ホテルセレクトイン八戸中央は6日、公式サイトで「当ホテルのSNS上の内容についてのご説明」と題した発表文を掲載した。
同ホテルは「一連のSNS上での内容につきまして、確認をした結果をお伝え申し上げます」とし、(1)宿泊者の予約を一方的にキャンセルしたという事実はない(2)一方的に予約をキャンセルされたという利用者の電話も10月6日時点ではない(3)ネット上で書かれているシステム障害についても、こうした事実はない(4)宿泊料金高騰については、地域全体の宿泊価格が高騰しており、そのように販売した事実はある――と説明している。
同ホテルは、今回の騒動について謝罪し、「今後も誠心誠意、お客様をお迎えすべくスタッフ一同、引き続き精進していく」とコメント。続けて「誤表記、店舗への無言電話や、誹謗中傷及びSNS上における営業妨害行為につきましては、法律的な判断をすることも検討しております」と注意喚起している。
「想定を上回る以上の予約があって、キャンセルがあったのは事実」
ツイッター上で予約をキャンセルされたという投稿者は6日、J-CASTニュースの取材に対し、「ホテルセレクトイン八戸中央」ではなく「スーパーホテル八戸天然温泉」を予約していたと答えた。
9月30日13時頃、宿泊予約サイト「楽天トラベル」から予約確定メールが届いたが、同日18時頃にはキャンセルメールが届いたという。その後投稿者は、八戸市内のホテルは軒並み予約済みだったため、仙台市内のホテルを予約したと述べている。
スーパーホテル八戸天然温泉の従業員は7日、「想定を上回る予約があって、キャンセルがあったのは事実です」と取材に答えた。
従業員によれば、それぞれの宿泊予約サイトが、部屋の在庫を管理する運営会社の情報を共有している。予約が入れば在庫が1つ減るのだが、情報が更新されるのにはタイムラグがあり、最新の情報に更新される前に、大量の予約が入ってしまったのだという。
殺到した予約を先着順で並べるのは「かなり困難な状況だった」と従業員は言い、「公平を期するために、予約が集中した時間帯に関しては、全て取り消しさせていただいた」と説明した。
また、羽生さんのアイスショーが発表された9月30日昼以前に予約していた宿泊者についてはキャンセルしていないという。従業員は、アイスショーのチケットはまだ販売されていないため、チケットの当落発表後、部屋の予約やキャンセルがあるだろうとし、ホテルの価格は「その辺で落ち着くと思います」と述べている。