「大道芸W杯」内部資料に「外国人差別」の指摘 大会プロデューサーが謝罪「私の完全な間違い」

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   2022年11月4日~6日に静岡市で行われる「大道芸ワールドカップin静岡」(以下、大道芸W杯)の内部資料に、外国人差別を助長するような記載があったとして、物議を醸している。ツイッター上で批判が相次ぎ、大会プロデューサーと大会実行委員会が謝罪した。

「欧米にアボルダージュ(接舷)!」戦争用語も

   大道芸W杯は1992年から開催されている大道芸のイベント。世界各国の大道芸人たちが一堂に会し、毎回100万人以上の来場者が訪れる。毎年11月に行われるが、20年、21年はコロナのため中止。今年は3年ぶりの開催となる。

   22年10月5日、ツイッター上で大会の内部資料とみられる文書が拡散された。俳優で大会プロデューサーの奥野晃士氏名義で書かれた文書には「2022年は日本人パフォーマーによる日本人らしい祭典を目指す」と書かれ、日本人を「日本国の国籍を持つ人」「日本列島に居住する民族(大和民族、アイヌ民族、琉球民族など)を血統に持つ人」「上記の民族を自らのアイデンティティーとする人」「日本語を母語とする人」と定義。また、日本人の遺伝的定義や日本の文明について「Wikipedia」からの引用文を用いて言及する記載もあった。

   資料には、2022年大会が海外からの招聘を断念した旨が記載されている。現在公式サイトに記載されている出場者一覧には、全て「日本」の国旗が掲げられている。資料には「静岡的大道芸スタイルで、欧米にアボルダージュ(接舷)!」と、自軍の船から敵軍の船に乗りこみ攻撃する戦争用語を用いたキャッチコピーも記載されていた。

「心よりお詫びし、撤回させていただきます」

   この文書を見たツイッターユーザーからは、日本人の遺伝的優位を主張し、外国人を差別する「優生思想」ではないかとの指摘が相次いだ。

   俳優の松崎悠希さんは5日、ツイッターで「これはあまりにも酷い。ここまで露骨な人種至上主義は初めて見た」「ミックスの日本人は日本人じゃないとでも言いたいの?おっそろしいな」などと批判。また「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」の公式ツイッターも同日、「SPACこと公益財団法人静岡県舞台芸術センターの所属俳優で、大道芸ワールドカップin静岡のプロデューサーである奥野晃士氏のレイシャルハラスメントの数々が事実だとすれば、大量の公金を使ったイベントであることも含めて、決して許されるものではないように思います」と見解を投稿した。

   批判を受け、大会プロデューサーの奥野氏は6日、ツイッターで「この度は、大道芸W杯内部講習の資料に偏った内容を掲載し、それが『大道芸W杯』そのものの思想であるかにように紹介したのは私の完全な間違いでありました。心よりお詫びし、撤回させていただきます。また後日改めて謝罪させていただきます」と伝えた。

   6日正午過ぎには大会公式サイトで、杉山茂之大会実行委員長名義による「大道芸ワールドカップ内部講習会におけるプロデューサーの発言について」と題した、以下の文書が掲載された。

「今般、大道芸ワールドカップ実行委員会プロデューサー奥野晃士が、ボランティアスタッフ『ポイントリーダー』向けの講習会で発信した内容について、多くのご意見をいただいております。このことにより、大道芸ワールドカップin静岡2022を楽しみにされていた市民の皆さま、演技予定のアーティストの皆さま、ボランティアとしてご協力いただく皆さま、スポンサーの皆さまに、多大なご心配・ご迷惑おかけし、お詫び申し上げます。本人が発信した内容や状況について確認したうえで、今後の対応も含め、改めて報告いたします」
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