カフェ長居はSDGs違反?コメダ掲示に「こじつけ」指摘 本部が作成も...現場は「意図分からない」

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   カフェに長居することはSDGs(持続可能な開発目標)の理念に反すると伝えたように解釈できる掲示物が店内にあったとして、喫茶店チェーン「珈琲所 コメダ珈琲店」の利用者がツイッターで報告して話題になっている。

「多くの方にくつろいでいただきたいので 混雑時は120分制とさせていただきます」
  • コメダホールディングス本社(写真:YUTAKA/アフロ)
    コメダホールディングス本社(写真:YUTAKA/アフロ)
  • コメダ珈琲店の店舗にあった掲示物(写真は、池西栗雄@fm3930さん提供)
    コメダ珈琲店の店舗にあった掲示物(写真は、池西栗雄@fm3930さん提供)
  • コメダホールディングス本社(写真:YUTAKA/アフロ)
  • コメダ珈琲店の店舗にあった掲示物(写真は、池西栗雄@fm3930さん提供)

「人や国の不平等をなくそう」とするSDGs目標を掲げて時間制限

   店内の掲示は、「KOMEDA COMES TRUE.」のタイトルで、こんな告知がされている。そして、線で区切ってはいるものの、SDGsの紹介が下の部分で行われていた。

   そこでは、SDGsの目標のうち、10番目の「人や国の不平等をなくそう」が掲げられ、こううたってあった。

「不平等を減らすことは、世界の幸せのためにとても大切です。それが貧困や飢え、争いごとをなくすことに役立ちます」

   この写真は、2022年10月3日にツイッターに投稿された。

   投稿者は、カフェで長居することはSDGsの理念に違反しているという意味らしいと、掲示について推測した。

   投稿は、5000件以上リツイートされており、「コメダの主張とSDGsと何の関係があるのか」などと不思議がる声も相次いだ。

   ツイッター上では、「混雑時、90分制のお願い」を呼びかけ、SDGsの同じ目標を掲げた別の店があるとの報告が出た。また、SDGsの別の目標を掲げたケースもあったとのツイートも見られた。

   その投稿写真を見ると、トイレとみられる場所の掲示で、「いつもキレイにご利用いただき、ありがとうございます」との呼びかけ文の下に、「安全な水とトイレを世界中に」とするSDGsの目標6が掲げられていた。そして、「世界には水道で運ばれる安全な飲み水を使えない人が22億人、キレイなトイレを使えない人は約42億人もいます」と説明があった。

   店のカウンターらしきところにあった掲示では、「通話やWEB会議はご遠慮ください」などとした文の下に、「パートナーシップで目標を達成しよう」とするSDGsの目標17が掲げられていた。そこには、「さまざまな人が相手を思いやり、立場を超えて協力し合うことは、より良い社会をつくるために欠かせません」との一文が添えられていた。

店長「本部のツールを使わせてもらいました」

   カフェ長居についての写真投稿者は10月4日、宮城県内の店舗で各テーブルの正面に掲示があったと、J-CASTニュースの取材にツイッターのダイレクトメッセージで答えた。

   投稿者はまず、「混雑時に長居するとSDGsまで巻き込むおおごとになるのか!?と驚きと笑いが出てしまった」と掲示を見たときの第1印象をこう明かした。そして、「SDGsという世界的な運動を否定していない」としながらも、こんな感想を漏らした。

「お願いすることは何も問題なく、わざわざSDGsを引き合いに出さなくてもいいのではないかと思いました。ここでSDGsを出すのはこじつけ感があり、却って説得力が薄れてしまうように感じました。混雑時でも120分も居させてくれるのは十分優しいなとは思いました」

   最近は、SDGsにこじつけて呼びかけをすることも増えている気がするとして、「お客さまへのお願いはこういったことを盾にすることなく、堂々としていいと思っています。お客さまと企業(従業員)が、より健全で良好な関係を築いていける世の中になることを祈っております」と結んだ。

   話題になった投稿で紹介された掲示をしている宮城県内の店舗の店長が5日、取材に応じ、「本部からの指示があったわけではないですが、本部のツールを使わせてもらいました」として、その理由についてこう話した。

「マナーの悪い方は、ほとんどいらっしゃいませんが、どうしても長時間、勉強などで利用されるお客様が少なくないです。週末に長く店内におられますと、せっかくお店に来られても、食事ができないというケースがたまにあります。お客様には平等にくつろいでいただきたいというコメダの考えがありますので、一昨年ぐらいから各テーブルに置かせていただいています」

   ただ、時間制限とSDGsの関係については、次のように明かした。

「SDGsのポップ素材については、どういう意図で作成したのか本部でないと分かりませんね。このことについて、お客様から直接ご意見をお伺いしたことはないです。店では、お客様に退店して下さいとは言いにくいので、掲示を出したからといって効果は何も変わらないですね」

公式サイトでは、「その行動がSDGsの解決にもつながる」と説明

   実は、コメダ珈琲店の公式サイトでは、「具体的な活動」として、21年5月25日の投稿で、これらの掲示物を「SDGsカード」として紹介していた。

   そこでは、コメダは、SDGsの目標達成に向けて、国際協力NGOセンターのフォーマットを利用してカードを作り、店舗や会社内に掲示しているとした。そして、カードを作った理由については、次のように説明している。

「店内の『SDGsカード』にはお店から皆さまへのお願いごとを記載していますが、同時にその行動がSDGsの解決にもつながっているということを知っていただくきっかけになればと思い、このフォーマットを用いて制作をしています」

   カードは、全部で90枚以上を作ったといい、その中には、先述した混雑時の時間制限やトイレでの呼びかけなども含まれていた。

   「飲食時以外はマスクの着用をお願いします」といった掲示については、「『マスクをする』『手洗いをする』という普段の何気ない行動の中にも、社会を変える大きな力があるんです!」と説明した。SDGsの目標に添えられた一文についても触れており、「ちょっと小言も混ぜて、楽しみながらSDGsについて理解を深められるよう、工夫しています」としている。

   コメダ珈琲店を展開するコメダ(名古屋市)の広報室は4日、取材に対し、こうした掲示物を加盟店などに出してもらっていると認めた。さらに、店内に長居することはSDGsの理念に反していると解釈してもいいのかなど、掲示の詳しい真意について聞いたが、5日17時までに返答はなかった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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