村上宗隆の56号は「スランプ脱出」の一撃か 他球団スコアラーも驚き「CSで爆発の予感が」

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   ヤクルト・村上宗隆がプロ野球の歴史に名を刻んだ。

   2022年10月3日のDeNA戦(神宮)で7回に56号右越えソロを放ち、64年の王貞治氏(当時巨人)がマークした55号を超え、日本選手のシーズン最多本塁打を塗り替えた。さらに、打率.318、56本塁打、134打点で史上最年少での三冠王に。04年の松中信彦氏(当時ダイエー)以来、18年ぶり8人目の快挙を達成した。

  • 村上宗隆(写真:ロイター/アフロ)
    村上宗隆(写真:ロイター/アフロ)
  • 村上宗隆(写真:ロイター/アフロ)

シーズン最終戦、最終打席での快挙

   苦しみ抜いた末に生まれた特別なアーチだっただけに、喜びは大きい。9月13日の巨人戦(神宮)で54号、55号を放ち、13年にウラディミール・バレンティン氏(当時ヤクルト)が残したプロ野球記録のシーズン60本塁打超えの期待がかかったが、ここからスランプが待ち受けていた。

   13試合でアーチは1本も出ず、安打も出なくなった。打率は急落し、確定と思われた三冠王獲得も危ぶまれるほどだった。

   この日の打席でも甘い球に手が出ない。初回1死一、二塁の場面で二ゴロに倒れると、3回1死一、二塁の好機で左前適時打を放ったが、5回は一ゴロ。残すチャンスは1打席のみとなった。球場が異様な緊張感に包まれる。7回の最終打席。入江大生が初球に投じた151キロの直球を振り抜くと、打った瞬間に本塁打と分かる打球は右翼席へ。村上は右手で人差し指を突き上げた後にガッツポーズ。確信歩きの後に一塁ベンチに向け、満面の笑みを浮かべた。

メモリアルアーチでスランプ脱出か

   他球団のスコアラーは驚きを隠せない。

「入江の球は決して甘くない。内角高めの直球で今まで空振りやファウルにしていた球だった。この日も適時打は打ったが、直球に差し込まれて本来の状態ではなかったのに...。あの球をスタンドに運ぶ感覚を取り戻したら、スランプを脱出したと言えるでしょう。CSに向けて爆発の予感がする。厄介な選手を蘇らせてしまいましたね」

   シーズン最終戦で内川聖一、坂口智隆、嶋基宏の引退試合に花を添えたい思いも強かっただろう。61打席ぶりの1発は村上の野球人生で忘れられないメモリアルアーチとなった。まだ戦いは続く。CSを勝ち抜き、史上初の日本シリーズ連覇を目指す。(中町顕吾)

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