東京・東日本橋にある老舗焼き鳥店「江戸政」が2022年9月20日をもって閉店した。店頭の貼り紙などで伝えている。
店が情報発信の場としていたGoogleマップの投稿欄では、閉店を決めた理由について、名物メニューだった「生つくね」の安全性を問題視する声がSNSに上がっていたことに触れ、「騒動の発端への責任をとるためにも閉店します」としていた。
「自業自得の責任をとる」
1924年(大正13年)創業の江戸政は、有名な立ち飲みの老舗焼き鳥店。平日・土曜の17時開店も、売り切れ次第終了のため、閉店時間よりも早く店じまいすることが多いとされた人気店だ。
SNS上で問題視されたのは、店の名物メニューだった「生つくね」。これは、鶏のタタキを団子状に丸めたもの。9月17日頃から、鶏の生食は危険だとする投稿が広がり、「これはヤバいでしょ」といった批判が見られた。
批判的な投稿を受け、江戸政は18日、Googleマップ上で一部メニューを変更すると報告した。しかし20日に再び更新し、批判を重く受け止めて「騒動の発端への責任をとるためにも閉店します」と発表。同日をもって閉店するとした。
食中毒を出したことはないとしつつも、「それはただの結果論だと深く受け止めています」と伝え、安全を心がけても「確かに皆さんが認識されているように100%安全とは言い切れません」と続けた。
保健所は生つくね提供「知らなかった」
突然の閉店発表に対し、SNS上ではどう考えても危なかった」とする声もあった一方で、「あまりにも残念」と惜しむ声も上がっていた。
こうした反響に対し、江戸政は21日、コメント欄を更新し「自分が閉業を決意したのは、SNSで叩かれたからではありません」と改めて説明。「叩かれて当たり前の時代に未だに生を出し、お騒がせしたことを深く受け止め自業自得の責任をとる。と、いう事です」と記している。
「食中毒を出したら閉店する」のではなく「この時代だから生タタキ(編注:生つくね)は辞めるという決断が必要だった」とつづっている。
同店が生つくねを提供していたことについて、東京・中央区保健所は同日、取材に「知らなかった」と回答。営業を続けていた場合、鶏肉には法規制がないものの、生食をやめるように指導していたと述べた。
東京都福祉保健局の公式サイトには、「鶏肉には法規制がありませんが、市販の鶏肉からは、サルモネラ、カンピロバクターなどの食中毒菌が検出されています」と書かれており、生肉や加熱不十分な肉を食べると食中毒のリスクが高まるとしている。