東京・亀戸で江戸時代に創業した和菓子屋の経営者から交通事故で罵声を浴び、車のドアを蹴られたとして、ツイッターに動画が投稿され、削除後も転載されて拡散している。
事故は、この経営者が赤信号を無視したのが原因だったとされている。この和菓子屋「元祖くず餅 船橋屋」は、会社サイトで事実関係を認め、「到底容認できるものではない」としてその行為を謝罪した。
「どっから出て来てんだよ。えっ?じゃねーだろが」
ドライバーが緩い右カーブを走っていると、いきなり左から赤い高級車が現れて、「バーン!」と大きな衝突音が響く。
赤い車は、前方で横向きに止まり、ドライバーは、思わず「おお、事故、事故、事故」と声を上げる。ハンズフリーで友人と話しており、状況をこの友人に伝える。赤い車は、少しバックすると、前に少し進んで止まった。
左のドアを開けて、男性が降りてくると、ドライバーの近くまで来て、こう怒鳴り散らした。
「どっからお前出て来てんだ、この野郎!」
ドライバーが「えっ?」と聞き返すと、さらにこうまくし立てた。
「どっから出て来てんだよ。えっ?じゃねーだろが、この野郎が! てめぇ、何まず曲がって来てんだよ」
これに対し、ドライバーが「いや、青(信号)でしたよ」と説明すると、男性は、「青じゃねぇから、俺がここ来てんだよ。おめぇが左に、おい!」と逆ギレした。
ドライバーが思わず「すみません」と言うと、男性は、「どっから入って来てんだよ。あぁん?」と文句を言い、次の瞬間に「ガッシャーン」と大きな音がした。
この1分ほどの動画は、ドライバーとハンズフリーで電話していた友人という人物が2022年9月8日にツイッターで投稿した。
投稿者によると、最後の大きな音は、男性が車のドアを蹴ったためだという。ドライバーは、この事故で少し痛みが出て、整骨院へ通っているとした。動画はドライブレコーダーに記録されていたもので、男性や警察も確認して、男性は、赤信号を無視して車線に合流したことを認めてドライバーに謝罪したという。
「100%渡辺の過失で示談・和解が成立しております」
ドライバーと男性の間では、示談交渉が行われ、保険金の支払いのほか、ドアの修理代も男性が支払うことになったとしている。ドライバーは、警察に被害届を出したというが、それが受理されたのかなどは不明だ。
ドラレコの動画は、その後に削除されたが、ツイッターで転載され、男性について、車などの情報から、「元祖くず餅 船橋屋」の渡辺雅司社長だと名指しされた。
この投稿内容について、船橋屋は9月27日夕、J-CASTニュースの取材に対し、「動画に映っておりますのは、渡辺本人でございます」と認めた。
「2022年8月24日、半蔵門周辺にて赤信号に気づかず直進して方向転換したところ、右側から合流した車と接触しました。事故発生直後、お相手の車に接触されたと思い激高し、このような行為に至ったとのことでございます」
その後の経緯については、次のように説明した。
「100%渡辺の過失で示談・和解が成立しております。そのため、被害届の提出や事情聴取は受けておりませんので、その点はご承知おき下さいませ。また、渡辺からは、お相手の方に誠心誠意の謝罪と保険金の支払いもさせていただき、受け入れて頂いております。尚、お相手の方に怪我等の外傷はございませんでした」
今回の事故については、次のような見解を示した。
「弊社としましては、交通事故はもちろんのこと、事故現場での言動も到底容認できるものではないと考えており、現在、今後の処遇や再発防止に向けての企業としての取り組みにつきまして協議を進めております。取りまとめ次第、速やかに公式ホームページ上でお知らせを行って参ります」
また、同社では、会社サイトにもお知らせを出し、渡辺社長が交通事故を起こしたことやその言動を認めた。
「今後の処遇及び再発防止策の検討を進めて参ります」
お知らせでは、「弊社代表取締役社長の交通事故に関するインターネット上での書き込みについて」と題して、次のように報告した。
「ご指摘を受けております通り、事故並びに現場での対応は概ね事実であり、弊社としても到底容認できるものではないと考えており、事故のお相手の方には深くお詫び申し上げます」
また、「最寄りの警察への届け出は終えており、お相手の方との和解・示談は既に成立しております」としたうえで、「本来であれば、一日も早くお知らせをすべきところ、示談・和解に向けた話し合いを進めることを優先しており、ご報告が遅くなりましたこと、併せてお詫び申し上げます」とした。
そして、「改めまして、弊社といたしましても今回の件を厳粛に受け止め、今後の処遇及び再発防止策の検討を進めて参ります」としている。
同社の公式ツイッターでも、「お詫び」として、「この度は弊社代表取締役社長が起こした交通事故とその言動について、ご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)