うどんの持ち込みを禁じる「禁麺」マークにSNS上で大きな注目が集まっている。話題になったのは、ジャンボフェリー(神戸市)が32年ぶりに用意した新船「あおい」の客室案内で用いられたピクトグラム。船内すべての客室でうどんの持ち込みを禁じている。
J-CASTニュースの取材に対し、担当者は「うどんが嫌いなわけではありません」と述べる。いったいなぜ、このような掲示を行ったのか。
「うどんの持込みやペットの持込みは、固くお断りいたします」
新船「あおい」は、内海造船(広島県尾道市)で建造中の5200総トン型カーフェリー。10月22日から、神戸と小豆島、高松の間で定期運航を開始する。ジャンボフェリーは就航に向けて、公式サイトなどで客室案内を公開している。
この案内がツイッターで9月23日、「全ての客室でいちいちうどんの持込みを禁止していて笑った」と紹介され、話題になっている。
「全席禁麺ですか...」
「やはり香川県民はうどんで出来ているのか」
「うどん禁止マークじわじわくる」
案内には、カメラの利用や喫煙、ペットの連れ込みを禁じるピクトグラムが用いられている。そこに並んで、麺類を禁じる異色なマークが並んでいた。注意書きには「全席禁煙。うどんの持込みやペットの持込みは、固くお断りいたします」と記されている。
ジャンボフェリーの広報担当者は、次のように説明する。
「船内の売店で提供しているうどんを、客室に持ち込まないようお伝えするために記載したものでした」
ピクトグラムは独自で作成
「あおい」の乗船時間は約3時間。レストランの代わりに売店「ふねピッピ」で、軽食とうどん7種を提供する予定だ。「ピッピ」は香川県の方言でうどんを指す。
「うどんは、売店に隣接するカウンター席で食べてもらうことを想定しております。熱い器をもって客室や別の階に向かわれるのは大変危険ですので、売店のそばで食べてほしいと思います」
同社の現行のフェリーでも軽食を提供している。アメリカンドッグやたこ焼きなども用意しているが、最も人気なメニューはうどん。客室に持ち込んでよいか問い合わせが寄せられることがあったという。
そこで「あおい」の客室案内では、うどん持ち込みを禁じるピクトグラムを採用。既存のマークではなく、自社で制作したそうだ。
担当者はSNSの反響に対し、次のように述べる。
「SNSで思わぬ反響があり戸惑っております。当社としてはうどんが嫌いなわけではなく、うどんを差別する意図もございません。本来の趣旨が伝わりづらい内容で、ご迷惑をおかけしました」
実際に、現行のフェリーのリクライニングシートには香川県観光協会が公開する「うどん県県章」をデザインするなど、うどんのPRにも力を入れている。
一方あおいでは、うどんだけでない香川の魅力を発信するという。客室は「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」をコンセプトに、島を象徴するオリーブ・醤・石・棚田の4つをデザインモチーフに取り入れた。担当者はこう呼びかけている。
「お客様に快適な船旅を実感していただきたいです。
10月1日からは、あおいの就航を記念した新メニューも発売します。小豆島には、ごま油で有名なかどや製油の工場があります。同社のゴマと油を使用した『ごまうどん』と、弊社の社長が趣味で育てている国産レモンを載せた『レモンうどん』を用意しました。皆様のご乗船をお待ちしております」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)