「安倍晋三AI」東大生ら作成 ネットで賛否も...実弟・岸信夫氏がシェア、自民議員「素晴らしい」

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   安倍晋三元首相の国葬を前に公開された"追悼AI(人工知能)"が、にわかに注目を集めている。

   「東京大学AI研究会」を名乗る団体が開発、公開し、安倍氏の「肉声」を再現した。

  • 故安倍晋三元総理追悼AIプロジェクトユーチューブより
    故安倍晋三元総理追悼AIプロジェクトユーチューブより
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「涙が出てきました...」

「有権者の皆様、お久しぶりです。元内閣総理大臣の安倍晋三です。私を応援してくださった方々を勇気づけたいと考えて、東京大学人工知能研究会が総力を挙げて私の声を再現してくれました」

   安倍氏と酷似した音声を収めた6本の動画が、2022年9月25日に公開された。いずれも安倍氏が支持者に感謝などを伝えるメッセージ動画だが、死去前の収録映像ではない。AIを使った合成音声だ。これまでに計570万回以上再生されている。

   特設サイトやツイッターによれば、企画したのは有志の東大生が集まった「東京大学AI研究会」。趣旨を「日本のために、命を懸けて最期まで戦ってくださった安倍さんの声を、人工知能で再現し、安倍さんに心からの感謝と追悼を送ります」と説明している。

   20~30代の有志が中心となって始めた「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」に次ぐ、草の根での弔意を示す動き。SNSではまたたく間に話題となり、再現度の高さが評判となった。

   「優しさを、ありがとう」(義家弘介衆院議員)、「東大の学生さん、素晴らしいですね」(松本尚衆院議員)、「作成された声を聞いて、また涙が出てきました...」(高木啓衆院議員)と複数の自民党議員が言及し、安倍氏の実弟である岸信夫首相補佐官もツイッター、フェイスブックで企画を紹介した。

   一方、「安倍晋三の威を借りた製作者の思想発表の場でしかない」「死者への冒涜だろ、これ」と共感できない人や、「(団体を)調べても対外的な活動実績が一切出て来ない」「遺族に許諾を取っているのか怪しい」と疑念も生まれている。

   東大広報課は26日、J-CASTニュースの取材に、大学は企画に関わっておらず、この研究会は届出のある学生団体ではないと話す。

研究会の見解は

   取材に応じた研究会によれば、21年5月にAIの研究開発を目的に結成した。東大生を中心に京大、阪大、早稲田、慶應、筑波、立命館の計43人の学生がオンラインで活動している。

   安倍氏の肉声再現は独自開発のAIを使い、「ご遺族、ご同友、国民のため、喪失感を癒し、勇気づけること、そしてそれが何よりも安倍元総理の追悼となることを目的としています」。

   センシティブな内容のため台本作成は慎重に進め、自民党議員や党員にも相談したという。議員名は個人情報を理由に明かさなかった。

   遺族からの許諾を得ていなかったというが、岸氏がシェアしていたため「私たちの心からの追悼と安倍元総理を弔いたいという真摯な気持ちがご遺族にも伝わったと考えております」との見解だ。

   研究会をめぐっては、過去に「自分だけのASMR(編注:五感に訴えかける心地良い音)を作ろう!」と題して、人気女優と歌手の合成音声を発表していた。現在までに専用サイトとサンプル動画は削除されているが、研究会は「何ら問題はないと認識しておりますが、一部の悪意のある方がこちらを意図的に誤解を伴う形で拡散されていたので、ページを公開停止しました。もともと、公開する予定のページではなく、メンバーで共有する内容だったのですが、誤って公開されていました」と釈明した。

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