「自分たちの地元のモノは自分たちでやらんとあかんやん!」
ふるさと納税に目を付けたのは、嶋田ゆかりさん。保存会の母体となった盆踊りチーム「スターダスト河内」の代表で、保存会の相談役を務めている。
交野節に関心を持った経緯を、次のように振り返る。
「枚方市では20年前、ゆとり教育の導入で授業がなくなった土曜日に、学校開放事業(ふれ愛フリースクエア)が実施されました。そこでPTA役員だった十河君のお母さんと私は、学校では習わなくなった地元の盆踊り『河内音頭』を子供たちに伝えようとしていました。市内の小中学校の授業ではよさこい、ソーラン節など他地方の踊りが導入されていたのです。
河内音頭について調べていくと、そのルーツ「交野節」が枚方にあることを知りました。それが枚方発祥のものだと分かると、子供たちも目を輝かせていました。当時は『ひらかたパーク』くらいしか、地元を代表するものが特にありませんでした。 子供たちが『自分たちの地元のモノは自分たちでやらんとあかんやん!』と言い出したことを受け2002年、6人でスターダスト河内を立ち上げました」
スターダスト河内は、交野節をルーツに持つ「河内音頭」をはじめとした全国の盆踊り文化を後世に残すため、子供たちが中心となって活動を続けている。現在は小学校1年生から社会人の約30人が所属する。
保存会は、交野節の第一人者だという美谷川菊若さんが亡くなった2017年に発足した。スターダスト河内の有志は、生前の菊若さんから交野節を習う約束をしていたが、連絡がすれ違い、ようやく連絡が取れたころには亡くなっていたのだという。「このままでは地元の交野節の後継者がいなくなってしまう」と感じ、保存会を立ち上げた。
保存会はスターダスト河内が出演する舞台に同行するなど、認知向上に努めたが、知名度はなかなか上がらなかった。そこで注目したのがふるさと納税だった。
「ふるさと納税に登録することで、交野節が『枚方市の返礼品』として、カタログに載るだけでもいい宣伝になる。枚方市の方にも『うちにはこんな文化があったのか』と興味をもってもらえるよう、何とか目に触れてほしいという気持ちから始めたんです」
保存会は、特別地方公共団体「関西広域連合」が関西の文化を海外に発信するために制作したPR動画で紹介されたり、文化庁の親子伝統教室の委託事業を受けたり、現存する文化財として注目度を高めていった。
ただ、保存会は「地元である枚方市や交野市の方々にも知ってもらいたい」と願っていた。そんな中、DPZに取り上げられたことで、地元での知名度も向上したと十河さんは振り返る。
「ラジオのリスナーさんにも聞いていただけたようで多くの方が拡散して下さったおかげで、活動の認知度や知名度が向上したように思います。『枚方おもろいことやってるやん』『えっなんで交野市のふるさと納税じゃないの』と言った声もありましたし、『うちの地元すごいことやってるやん』と言った声をいただきました。地元情報サイトなどにも取り上げて頂いて、ようやく枚方でも認知されてきたのではないかと思います」