偽情報はどこから生まれる?対抗策は? 英調査報道集団「ベリングキャット」創設者が解説

親ウクライナのポーランド人が破壊活動→フィンランド兵の射撃練習でした

   ファクトチェックを速やかに行うことの重要性も強調した。一例が、「ウクライナ人のために行動しているポーランド人が浄水場の施設を破壊している」として「ロシアに支援された分離主義者」が22年2月にSNSで拡散した動画だ。動画では2人の兵士が木に発砲しているが、画質も粗い。

   動画や画像には、撮影日などの「メタデータ」と呼ばれる情報が含まれ、ツイッターやフェイスブックに投稿すると削除されることが知られている。ただ、この事例では投稿されたのが「テレグラム」と呼ばれるSNSで、メタデータが残っていた。これを検証したところ、問題の動画は「事件」が起きる前に撮影された2つのファイルを組み合わせたもので、そのうちひとつは、フィンランドの兵士が射撃場で練習している様子を映した動画のファイル名と一致した。

   この検証作業は動画発見から1時間以内に行われたといい、その意義を(1)「ロシアに支援された分離主義者」がプロパガンダの偽動画を作成する意欲があることを浮き彫りにした(2)ロシアを支持する人は、すでに(偽物だと)検証された動画を宣伝することとに興味がないので、動画の影響力をそぐことができた、と説明した。

   検証の手法を普及させていくことの重要性にも言及。16~18歳向けの教育プログラムがスタートしたことを紹介しながら、

「私たちの願いは、伝統的な調査方法とオープンソースの手法を組み合わせてインパクトを与える方法を示し、彼ら(若者)が自分たちの生活に変化をもたらす力を与えることだ」

と述べた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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