台風14号が九州に接近する中、ロック歌手の矢沢永吉さん(73)が福岡市中央区内の福岡PayPayドームでコンサートを行い、警察によると、一時タクシー乗り場に数百人の列ができた。
コンサートの運営側は、「タクシー待ちは22時半には解消し、ホテルも空きが十分にあり、帰宅難民が出たとは思っていません」と取材に説明した。
ドームのタクシー乗り場に数十メートルの行列ができたとの報道
福岡市内などでは、2022年9月18日に他の大物ミュージシャンらがコンサートを予定していたが、台風の接近で次々に中止を発表している。そんな中で、矢沢さんがコンサートを決行したのは、異例だとされる。
矢沢さんの公式サイトでは同日、ドームが屋根のある頑丈な作りで、ファンから「開催して下さい!」などと多数のメールが届いたとして、決行を発表した。ただし、「ご自身の判断で必ず安全を確保できる方、帰路につける方のみご来場ください」と呼びかけ、「今回は断念するという方には、全員ご返金させていただきます」とも説明した。
報道によると、コンサートは、ほぼ満席だったが、終了した20時ごろまでには、バスや鉄道が運行を中止していた。ドームのタクシー乗り場には、数十メートルの行列ができ、風雨が強い中でファン数百人が帰路を目指した。
ツイッターでは翌19日、ずぶ濡れのファンらが近くのホテルで部屋などを求め、ロビーで一夜を明かしたケースもあったとの投稿があった。この投稿をしたアカウントは、その後削除されており、真偽は不明だ。
とはいえ、帰路に困ったファンの姿がテレビなどで流れたこともあり、ツイッター上などでは、様々な意見が書き込まれている。ファンからは、コンサートを歓迎する声が多く、帰路に困っても「自己責任の問題」との指摘が出た。一方で、「案の定、帰宅難民出てる」「これは強行した方が無茶だった」などと手厳しい意見も見られた。
福岡市「参加者の安全をもう少し考えていただきたかった」
福岡県警の中央署にJ-CASTニュースが9月20日に取材したところによると、コンサート終了後に、タクシー待ちをしているファンが数百人いて、「風雨に晒されて危険な状態で、恐怖を感じている」といった内容の110番通報があった。
これを受けて、同署では、主催者に対し、風雨に晒されないようファンの安全確保に配慮するよう申し入れた。その後、ファンらには、風雨をしのげるドームの駐車場で待機してもらったといい、タクシー待ちも23時過ぎに解消したとした。
近くのホテルに部屋を求めるファンが来て、ロビーで一夜を明かしたケースがあったとは聞いていないという。
コンサートについては、もし大水害が発生した場合は、中止を警告するかもしれないとしたが、開催するかは、主催者の自主的な判断になり、天気予報に基づいて開催を止める権限は警察にはないとしている。
福岡市の防災推進課は20日、当時のことについて、取材にこう話した。
「ドームと包括協定をしている部署に状況を確認してもらったところ、帰れない人にホテルをあっせんしたり、タクシーを調達したりしたと聞いています。ホテルのロビーで一夜を明かしたといったケースは把握していません。市が関連しているイベントでしたら、適切な対応ができますが、今回は、民間の施設で行っている民間のイベントになります。市として、特に何か要請はしていませんが、交通機関が止まることは事前に分かっていましたので、参加者の安全をもう少し考えていただきたかったと思っています」
主催した矢沢さんの事務所から委託を受けてコンサートを運営した興行会社「キョードー西日本」(福岡市)は同日、次のように担当者が取材に答えた。
「タクシー待ちについては、22時半には解消されています。近くのホテルのロビーに行きましたが、たくさん空室があって、ファンが一夜を明かしたといった話は入ってきていません。こちらとしては、コンサート後に帰宅難民が出たとは思っていません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
EIKICHI YAZAWA 50th ANNIVERSARY TOUR「MY WAY 」
— 矢沢永吉 公式アカウント (@official_YAZAWA) September 17, 2022
明日の福岡公演に関しましてhttps://t.co/BQuCGOx5Mz#矢沢永吉#永ちゃん#福岡PayPayドーム#台風14号#YAZAWA pic.twitter.com/2sIRdUCfiO