芸術イベント「六本木アートナイト2022」で展示されたドラえもん作品が、その独特なデザインから好奇の目を集めている。
作者は意図を「むしゃくしゃした気持ちをドラえもんに受け止めて貰いたかったあの頃の自分を表現しました」と説明している。
「これはちょっと...ファンとしては」
六本木アートナイトは2022年9月17日~19日の期間、六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウンなど六本木の人気スポットで行われた。
テーマは「マジカル大冒険 この街で、アートの不思議を探せ!」。メインプログラムは、アーティストの村上隆氏が「ドラえもん」を題材にしたバルーン作品で、藤子プロが特別協力している。
13人の現代美術作家も関連作品を披露し、その内の一つがSNSで注目を浴びた。商業ビル「ラピロス六本木」に飾られたドラえもんの形をしたバルーンで、ペンキをまき散らしたような独創的な仕上がりになっている。
作者はMADSAKI(マサキ)氏。イベントサイトによれば、大胆なスプレーワークが特徴で、「挑発的、風刺的なフレーズ、歴史上の名画を題材にしたシリーズ」を製作している。
ツイッターでは好意的な意見とともに、斬新さゆえか、「芸術って難しい」「これはちょっと...ファンとしては」「落書きされたのかと間違えちゃいますね」と複雑な受け止めも少なくない。
MADSAKI氏は18日、インスタグラムで「自分の作品について滅多に説明することはないんだけど、今回はドラえもんということで」と切り出し、作品に込めた思いを説明した。
「ドラえもんを見て、同じく笑顔になってくれたらなぁと」
1974年に大阪で生まれ、小学校1年の1980年から2004年まで米国で過ごしたMADSAKI氏。当時をこう振り返る。
「現地校に放り込まれた僕はもちろん英語も話せないし理解もできなかった。学校で全くコミニケーションができず、むしゃくしゃした気持ちで家に帰ってきては、床に転がってお菓子を頬張りながら日本から持ってきたドラえもんの漫画を読んでいた。のび太がドラえもんに助けを求めてすがるように、ぼくは理解できる日本語を求めた。読んでいるうちに気持ちは段々と軽くなり、笑顔になっていた」(原文ママ)
ドラえもん作品のモチーフはこのエピソードから浮かび、「むしゃくしゃした気持ちをドラえもんに受け止めて貰いたかったあの頃の自分を表現しました。そのドラえもんを見て、同じく笑顔になってくれたらなぁと」と意図を明かした。