大手牛丼チェーンの松屋は、この夏から新たな「どん」メニューの提供をはじめている。と言っても、牛丼や豚丼ではない。「ぶっかけうどん」だ。なぜ、いま「うどん」を売るのか。運営会社の松屋フーズ(東京都武蔵野市)にねらいを聞いた。
実は「うどんびいき」な松屋
「松屋でうどんメニュー初めて見た」「松屋って今冷やしうどんやってるのか」――。2022年8月~9月にかけて、松屋を訪れたツイッターユーザーの間では、こんな驚きの声が聞かれた。売られていたのは、ぶっかけうどん(税込300円)。冷たいうどんにネギがトッピングされた、シンプルなメニューだ。
松屋フーズの広報担当者は9月13日、J-CASTニュースの取材に「『お客様の幅広いニーズにお応えしたい』『牛めし(380円)を下回る価格で販売したい』『暑い時期にお客様が食べやすいメニューを』という思いのもと、販売に至りました」と販売意図を説明する。
うどん出汁は鰹と昆布を合わせた松屋特製のもの。麺はしっかりとしたコシがある。単品のほかにも、牛めし小盛がついたセット(580円)や、牛皿、半熟玉子、とろろなどの小鉢がついたセット(各380円)を販売。他の丼ものなどと一緒に頼みやすい「小盛」(190円)も用意されている。
8月2日から一部店舗で販売を開始。順次販売終了となる店舗もあるが、9月14日現在、関東や近畿を中心に全国295店舗で販売している。広報担当者は「多くの反響をいただいております」と説明。松屋の他のメニューと一緒に頼む人が多く、キムチなどのサイドメニューをトッピングする人もいるという。
実はこれまで、うどん文化が根強いとされる関西圏では、毎年期間限定でうどんメニューを販売。高速道路のパーキングエリアでは通年でうどんを販売している店舗もあり、牛丼チェーンながらうどんの展開に力を入れてきた。広報担当者は「冬に向けて温かいうどんの販売も検討中」と、さらなる意欲をのぞかせる。
うどんチェーンはトリドールHD(東京都渋谷区)の「丸亀製麺」が国内トップシェアで、吉野家HD(東京都中央区)の「はなまるうどん」も存在感を放つ。松屋の牛めしとの「黄金コンビ」は、うどん食の新たなスタンダードとなるか。