新聞折込チラシ?いえ、れっきとした公文書です――。北海道鷹栖町が配布する議会案内のデザインが、まるで家電量販店のチラシだと話題になっている。
議会改革を進める町議が制作し、住民の町政への関心を高める狙いがある。
「これは読みたくなる」
鷹栖町議会は2022年9月14日~15日の定例会を前に、議会案内を配布した。今期は21年度の予算が適切に使われたのか審議する決算認定を予定する。
この案内がSNSで大受けした。「一般会計歳出60億5456万円!年に一度の総ざらい 秋の決算定例会大審査会」と金や赤など目を引く配色で大書され、写真をふんだんに使って税金などの使途実績を報告している。
家電量販店のチラシのようなデザインで、行政サービスの費用対効果が「特売品」かのように並ぶ。
ツイッターでは「これは読みたくなる」「予算の使い道がわかりやすい」と評判を呼び、複数の地方議員や国会議員から広報の参考になると熱視線が注がれている。
制作した広報広聴常任委員長の片山兵衛議員(44)は9月12日、J-CASTニュースの取材に「決算というのは重要性のわりにあまり注目されず、傍聴者はほとんどいらっしゃらないです。金額に目がいきやすいチラシ風であれば、何にどれくらい使ったのか注目してもらえるのではと期待しました」と話す。
Adobeのデザインソフト「イラストレーター」を使って20~30時間ほどで作った。決算書の確認に多くの時間がかかったという。
PR効果で傍聴者増加、議員の質向上にも
鷹栖町議会は過去にも、週刊誌の中づり広告や少年漫画誌、怪獣映画のポスターを模した議会案内を制作して話題となった。
ユニークな取り組みは、町議選が3回連続で無投票となった19年末から始まった。「議会としては町民の方に関心を持ってもらうためには手段を選んでいられない状況でした。個人的には、商工会青年部でポスター制作の経験があったので、この(危機感を持った)空気感ならできるかなと思い立ちました」(片山氏)
ほかにも、町政への参加を促すため「議会傍聴ガイドブック」を配布したり、町議の仕事ぶりを評価する「一般質問の通信簿」を導入したりした。
取り組みは実を結び、傍聴者は着実に増えているという。「良い質問をしようという意識にもつながっています」と議会活性化にもなった。
ネタ帳があり、日々次の構想を練っているという片山氏。今後の展望については「私の任期は定例会でいうとあと二回。色々な人から『あなたがいなくなったらどうするのか』と言われます。若い一年生議員(川原允氏=36=)がいるので、チラシを一回任せてみようと思っています。まるっきり自分と違うテイストになるかもしれませんが、工夫しながら続けていけるようにしたいです」と意気込んだ。
令和3年度はどんな事業をした?鷹栖町の決算を審査します????
— 鷹栖町議会 (@takasu_gikai) September 9, 2022
9月14日~15日までの日程で、令和4年第3回鷹栖町議会定例会を開催します。
詳細は、町HPをご覧ください。https://t.co/bMevp4Livu pic.twitter.com/acS30xQ76Z