「時代と共に、紙からデジタルに変化していくのではないかと想像します」
漢和辞典の出版状況について、「漢検」を運営する日本漢字能力検定協会はどのように考えているのか。
協会は9月2日、漢和辞典の売り上げの減少について、「紙媒体としての出版物全体が減少していますので、これは漢和辞典・漢字辞典に限った問題ではないと考えます」と述べた。
漢和辞典は危機的な状況にあるのか。こうした質問に対し、同協会は、紙の辞典を手で引いて漢字を調べる機会が減り、スマートフォンやタブレットを活用する人が増えていると思うとしつつも、「いくらICT化が進んでも言葉を使って思考し、人々と意思疎通をする以上、『漢字を調べる』行為がなくなることはないでしょうし、辞典は必要とされるのではないでしょうか」と見解を示した。
「時代と共に、紙からデジタルに変化していくのではないかと想像します」。同協会が協力した京都大学の研究では、漢字書字能力は「高度な言語能力」の発達に重要であることが明らかになったという。
同協会が運営し、インターネット辞典「goo辞書」と連携している「漢字ペディア」は年間のPV数が4500万を超えているといい、「これは漢和辞典とは異なりますが、デジタルの漢和辞典のニーズを表していると言えるかもしれません」と続けた。
今後、人々にとって漢和辞典はどのように使われるのが望ましいのだろうか。
同協会は、「一概に漢字を調べると言っても、調べる人によって調べる動機、知識、置かれた状況・場面は様々です。各自が最適な方法を選択し活用できるように、時代に合わせた漢和辞典の発展に期待したいと思います」と答えた。