漢和辞典が「絶滅」してしまう? 窮状伝えた投稿拡散、心配広がる...その現状を出版社に聞いた

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「デジタル版の辞書に置き換えられていく流れはもはや変えようがありません」

   そもそも、漢和辞典の売り上げはどのような傾向にあるのか。

   小学館によれば、漢和辞典が最も売れた時期は1990年代で、2022年に至るまで下降線をたどっているという。「ここ数年でもその傾向は変わりません」とし、主要な購買層である中学・高校において、タブレット導入などにより漢和辞典を含む書籍版の辞典の採用数が減少傾向になっていることが原因の一つだと分析した。

「残念ではありますが、1980年代からの電子辞書(専用機)、2000年代からのオンライン辞書サービスの普及により、書籍版の辞書がデジタル版の辞書に置き換えられていく流れはもはや変えようがありません」

   漢字を電子的に表現することは、Unicode(コンピュータ用の文字コードの規格)などによって改善されてはいるものの万全ではなく、漢和辞典をデジタルコード化することは難しいのだという。小学館は「読者のみなさまには、紙の漢和辞典をいまいちど手にしていただきたいと願っています」と続け、書籍版の辞典の購入を呼びかけた。

   三省堂も同様に、2000年前後以降から2019年にかけて漢和辞典を含む辞書全般の売り上げが減少していたと回答。2020年の新型コロナウイルス感染拡大が辞書出版に大きな影響を及ぼしたとし、以来売り上げは徐々に回復しているが、コロナ前の水準には戻っていないという。

   書籍版の辞書の売り上げが減少している理由について、三省堂は(1)少子化による人口減少(2)紙からデジタルへの媒体の拡大(3)教育におけるデジタル化の進展――などを挙げた。

   しかし、辞書に対するニーズが極端に減ったということではなく、同様の背景でもデジタル辞書は売り上げを伸ばしていると付言している。

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