首相はチャーチルなど15人
君塚氏によると、「英国君主」は他国の君主とは、かなりの違いがある。
第一に、エリザベス女王は「英連邦王国」15か国の女王陛下。各国の国家元首であり、それぞれの国の紙幣に女王の顔が印刷されている。また、旧植民地だった国々をまとめて50余りの国で「コモンウェルス」も形成しており、21世紀になっても地球の約4分の1の国々と直接・間接につながっていた。
加えて、イギリスは立憲君主制。国王が「政治」と密接だ。議会開催中は、毎週一度は首相と会見する。70年に及ぶ在位期間中に首相はチャーチルからトラス首相まで15人。折々の政治課題などについて長時間にわたり話し合ってきた。
その内容は極秘とされているが、サッチャー元首相は「この拝謁が単なる形式的なものだとか、社交上の儀礼に限られているなどと想像する者がいたら、それは完全な間違い」と語っているという。君塚氏は、「女王はカナダやオーストラリアの女王でもあり、各国から届く情報に関してはイギリス首相でも及ばなかった」と指摘している。