居酒屋チェーンが提供する「筆洗入りうどん」が、「インスタ映え」するなどとして話題を呼んでいる。
しかし、衛生面から懸念も漏れ、店は提供を中止した。
食品衛生法上に抵触の恐れ
「小学校」をコンセプトにしたこのチェーン店は、郷愁を感じさせる内装やメニュー構成を特徴とする。
耳目を集めたのは、筆を洗う道具「筆洗」を容器に見立てた「〆の冷しうどん」だった。4曹のプラスチック容器にうどんとつゆが盛られ、中央の窪みに薬味が入っている。店のSNSによれば、2018年から提供している。メニュー表では商品の魅力を「インスタ映え」すると伝えていた。
客が2022年9月3日、料理写真をツイッターで紹介すると3万リツイート、20万いいねを記録し、「食べたい!!」「発想が素晴らしい」と好意的な意見が相次いだ。
一方、食品衛生法上の観点から疑問視する意見も寄せられている。同法15条では「営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならない」、16条では「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装は、これを販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない」と定めている。
20年10月には、風呂用のプラスチック桶「ケロリン桶」が複数の飲食店で食器や酒器として利用されているとして、製造元の富山めぐみ製薬が「食品衛生法上の食器ではないため、各種規格適合、溶出試験を行っておらず、食器として利用する際の安全性が担保できません。(食品衛生法第15、16条より)」と注意喚起していた。
店側「毎日綺麗に洗っていた」
居酒屋の運営会社は6日、J-CASTニュースの取材に、ツイッターでの注目を受けて提供を止めたと明かす。
筆洗は市販品で、検査をするなど安全性は確認していなかった。東京都渋谷区の店舗のみで提供し、「毎日綺麗に洗って、子どもが使っているプラスチックの器みたいなものだと思ってやっていた」と話す。健康被害の報告はこれまでないという。前述の客も取材に、味に違和感はなく、体調に変化はないとした。