母は「ウクライナ人」だった... 死去のゴルバチョフ氏、体現した両国のねじれ

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ウクライナ語の歌を口ずさむ

   共同通信編集委員兼論説委員の松島芳彦さんは2022年3月24日、信濃毎日新聞への寄稿で、次のように記している。

   プーチン大統領は21年7月に発表した論評で「ウクライナの完全な主権はロシアとの完全なパートナー関係があってこそ可能」と述べた。一国の主権より特定の体制の利益が優先するというのだ。ソ連時代の「制限主権論」と変わらない。時代錯誤である。

   プーチン氏は同じ論評で「われわれは一つの民族」とも主張した。ゼレンスキー氏は「いや、カインとアベルのようだ」と切り返した。旧約聖書に登場する兄のカインは、弟のアベルを妬(ねた)みから殺して神にもうそをつく。今世界が目にしているのは「兄弟殺し」の惨劇である、と。

   ゴルバチョフ氏は、「住民の大半がロシアへの再統合を希望した」として14年のロシアによるクリミア併合を支持した。そのことで、ウクライナからは入国禁止になった。しかし、「クーリエ」に掲載された16年のAP通信のインタビューでは、母親から教わったウクライナの歌を口ずさむ場面もあったという。

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