韓国最大野党の新代表は「対日強硬派」だが... 地元メディアは「内政刷新」優先か、外交問題影薄く

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   韓国の最大野党「共に民主党」が2022年8月28日にソウルで党大会を開き、李在明(イ・ジェミョン)氏(57)を新代表に選んだ。李氏は3月の大統領選に出馬し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に0.7ポイントの僅差で敗れた人物だ。

   政党支持率では「共に民主党」が尹氏率いる与党「国民の力」を上回っている上、国会では「共に民主党」が過半数の議席を握る。尹氏がさらに困難な政権運営を迫られることは確実だ。李氏は、元徴用工らの訴訟問題で尹氏よりも日本に対して厳しい姿勢を取っていることで知られる。ただ、現時点で韓国メディアの主な関心事は、李氏と尹氏が協力してコロナ禍や経済問題への対応にあたることで、外交についての優先度は必ずしも高くない。

  • 韓国の最大野党「共に民主党」代表に選ばれた李在明氏。現時点で日韓関係の優先度は高くない(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
    韓国の最大野党「共に民主党」代表に選ばれた李在明氏。現時点で日韓関係の優先度は高くない(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
  • 韓国の最大野党「共に民主党」代表に選ばれた李在明氏。現時点で日韓関係の優先度は高くない(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

「司法リスク」対応と「ファンダム政治」克服が関心事

   党大会翌日の8月29日には、3大紙(東亜日報、朝鮮日報、中央日報)が社説で李氏の代表就任を取り上げ、翌8月30日も東亜日報、朝鮮日報の2紙が取り上げた。各紙が対応を求めたのが「司法リスク」の対応と、熱狂的な支援者からしか支持されされない「ファンダム政治」の克服だ。

   前者の「司法リスク」は多岐にわたる。29日の朝鮮日報によると

「現在、京畿道城南市大庄洞・柏ヒョン洞の土地開発疑惑やプロサッカーチーム城南FC後援金疑惑、法人カード違法使用、弁護士費用肩代わり疑惑などに対する捜査が進められている」

といい、こういったリスクを「乗り越えなければならない」とした。同日の中央日報も司法リスクへの対応が「優先課題」だとした。

   後者については、東亜日報が29日、野党は政府・与党の失策に安住してはならないとして、「ファンダム政治克服など、国民期待に応える刷新なしで民心回復は難しいだろう」。30日には早期の党首会談開催を求めた。中央日報も「ファンダム政治」からの決別を求めた。

「党利党略から脱し、野党も国政に半分の責任があるという姿勢」

   「ファンダム」(fandom)とは、「ファン」と「フリーダム」などの接尾辞にあたる「-dom」(「~の状態」の意)を組み合わせた言葉、熱狂的支持者の集団や、その集団によって形成された世界観や文化を指す。つまり「ファンダム政治」とは、自分の熱狂的支持者しか喜ばない政治を意味する。この「ファンダム政治」を乗り越えない限りは、与野党が協力して共通の政策課題に取り組むことは難しい。

   朝鮮日報は29日に「『国の未来のために協治することができる有能な政党』の模範を示さなければならない」と論じたのに続いて、30日には所得税の負担を軽減する法案に協力するように求めた。中央日報は「刷新を通じて党利党略から脱し、野党も国政に半分の責任があるという姿勢」が必要だとした。

   3紙の計5本の社説に外交問題は登場しなかった。特に日韓関係については、中央日報が日本メディアの論調を紹介する程度にとどまった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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