英スポーツ専門メディア「ザ・スポーツマン」(WEB版)が2022年8月29日(日本時間30日)にプロボクシング世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥(大橋、29)の特集記事を公開し、WBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国、33)との王座統一戦に言及した。
23戦全勝で20試合がKO勝利
世界主要4団体の王座統一を目指す井上の次戦は、バトラーとの王座統一戦の可能性が高く、米スポーツ専門局「ESPN」が8月24日に井上、バトラー両陣営が12月13日に日本開催で合意に達したと伝えた。
両者の対戦が正式に決まっていない状況のなか、「ザ・スポーツマン」は井上とバトラーの展望に言及。記事では井上がWBA、WBC、IBF王座に加え権威ある米専門誌「ザ・リング」認定のベルトを保持し、23戦全勝でそのうち20試合が恐ろしいまでのKO勝利だったと紹介した。
そしてバトラーが日本に行って歴史的価値のある挑戦をすると伝える一方で、過去の世界戦で他団体王者ら強豪に圧勝してきた井上を高く評価し、「(バトラーにとって)かなりの報酬でさえリスクに見合う価値があるかどうかは疑問だ」との見解を示した。
また、英国ボクシング界で今回のような「ほとんど不可能な仕事」を引き受けたケースは初めてではなく、過去に英国人ボクサーが世界で最も恐れられた選手と対戦したいくつかの例を紹介した。
同メディアが挙げたひとつが89年2月の世界ヘビー級タイトル戦だ。英国人ヘビー級ボクサーのフランク・ブルーノが世界3団体統一王者マイク・タイソン(米国)に挑戦し、5回KO負けを喫した。96年にはブルーノがWBC世界ヘビー級王者としてタイソンの挑戦を受け、3回KOで敗れベルトを失った。
ブルーノはタイソンに2敗喫して引退
記事ではブルーノは初戦で神格化されたタイソンと戦いタイソンを揺さぶり傷付けたとし、結果5回KO負けだったがブルーノにとって最高の試合だったと評価。そして96年の再戦が彼のプロキャリア最後の試合となったと伝えた。
リッキー・ハットン(英国)も「ほとんど不可能な仕事」を引き受けたひとりであると紹介。ハットンは世界2階級(WBA、IBF世界スーパーライト級、WBA世界ウエルター級)を制覇した実力者で、当時英国で絶大なる人気を誇った。
ハットンは07年12月にWBC世界ウエルター級王者フロイド・メイウェザーJr.(米国)と対戦。無敗同士の一戦は世界的に注目を集め、ハットンが10回TKO負けしプロ初黒星を喫した。
記事ではメイウェザーとの対戦は「地球上で最高のボクサーになる」というハットンの真の挑戦だったと指摘し、最高のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級を超えた最強ランキング)ファイターに敗れたことは恥ではなかったと結んだ。メイウェザーは以降も勝利を重ね50戦全勝でプロキャリアに終止符を打った。
井上は6月の世界バンタム級3団体王座統一後、「ザ・リング」が設定するPFPで1位となる快挙を達成。年内にも実現するとみられる次戦に世界的注目が集まる。
The MONSTER wasted no time ?? @naoyainoue_410 knocked out Nonito Donaire in two rounds. #InoueDonaire2 pic.twitter.com/WmMxwcWRib
— ESPN Ringside (@ESPNRingside) June 7, 2022