約5年間、出汁の写真だけを投稿し続ける...「狂気のインスタ」SNSで話題に なぜここまで?運営の日本料理店に聞いた

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   京都の日本料理店「権太呂」の公式インスタグラムが「突き抜けている」「狂気」などとツイッターで話題になっている。なんと約5年間、1000回以上にわたって、透き通った出汁越しに空を撮影した写真だけを投稿し続けていたのだ。

   なぜこのような投稿を続けているのか。J-CASTニュースは2022年8月24日、権太呂のインスタグラム担当者に取材した。

  • 「出汁越しの空」を投稿し続けるインスタグラム
    「出汁越しの空」を投稿し続けるインスタグラム
  • 「出汁越しの空」を投稿し続けるインスタグラム

2017年から毎日「出汁越しの空」を撮影

   権太呂(京都市)は1910年に創業した。京都市内に3店舗を展開し、うどんや蕎麦で親しまれている。

   注目を集めたのは権太呂の「きょうのひとしる」というアカウント。24日時点で1292件ある投稿のうち、全てが出汁を撮影したものだ。時折、雲のようなものが映る。キャプションは「あつい」「夏の終わりの入道雲」など、その日の天候を伝えている。

   ツイッターでは23日、あるツイッターユーザーが次のように紹介し、注目を集めた。

「京都のうどん店 権太呂の、出汁の写真(たまに出汁越しの空)を投稿し続ける狂気のインスタアカウントを見つけてしまった おそらく公式」

   このアカウントを紹介するツイートには「いいね」が約1万件寄せられる大きな反響があり、「実に突き抜けてる。こういうロックな気質、自分は好き」「感性が一流過ぎて草」「なぜ出汁から空を見ようとしたのか」といった声が寄せられている。さらには「いい色の出汁だなあ 絶対美味しいやつだ」などと興味を持つ声もあがった。

   権太呂の担当者によれば、アカウントを開設したのは2017年10月13日。その日に作った出汁を透明なカップに注ぎ、空に掲げて撮影しているそうだ。初投稿のキャプションは「天からの恵みの雨」でその日の天候を伝えている。

「毎日、朝早くから職人が出汁を取っていることを知ってもらいたい」

   担当者によれば、権太呂では特に出汁に力を入れており、その透明感や美しさから「黄金の一汁」と呼んでいる。毎朝、職人が季節や気温などに合わせて丁寧に用意しており、こうした職人の頑張りや出汁の魅力を伝えるために投稿を続けている。

「権太呂は創業以来、仕入れが困難な時であっても出汁に必ず羅臼昆布を用いています。関西風味の薄味をイメージされるかもしれませんが、肉厚な葉によって濃く、しっかりとした味が出ます。節は、うるめ、さば、めじかの3つを用いています。よく干したものを削り、配合を考えて窯に投入しています。毎日、朝早くから職人が出汁を取っていることを知ってもらいたいです。」

   ただしインスタグラムの投稿からその日の出汁について分かることはないという。投稿はその日の京都市の天候のみを伝えている。出汁を空に掲げるのは、「少しでも京都らしさ、京都市の空気を感じてほしい」という思いからだそうだ。

   アカウントを運営し続けて約5年間、今回話題になるまで目立った反響はなかった。辞めようと思ったこともあったという。それでも店の看板である出汁の魅力を伝えたいという一心で、従業員複数人が持ち回りで投稿を続けた。ツイッターでようやく日の目を浴びたことを受け、担当者はこう話す。

「なかなか見られることが少なく、反響がなかったので、よく見つけてくださったなと思います。辞めることなく、何年も続けてきてよかったと社内で喜んでおります」
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