「毎日、朝早くから職人が出汁を取っていることを知ってもらいたい」
担当者によれば、権太呂では特に出汁に力を入れており、その透明感や美しさから「黄金の一汁」と呼んでいる。毎朝、職人が季節や気温などに合わせて丁寧に用意しており、こうした職人の頑張りや出汁の魅力を伝えるために投稿を続けている。
「権太呂は創業以来、仕入れが困難な時であっても出汁に必ず羅臼昆布を用いています。関西風味の薄味をイメージされるかもしれませんが、肉厚な葉によって濃く、しっかりとした味が出ます。節は、うるめ、さば、めじかの3つを用いています。よく干したものを削り、配合を考えて窯に投入しています。毎日、朝早くから職人が出汁を取っていることを知ってもらいたいです。」
ただしインスタグラムの投稿からその日の出汁について分かることはないという。投稿はその日の京都市の天候のみを伝えている。出汁を空に掲げるのは、「少しでも京都らしさ、京都市の空気を感じてほしい」という思いからだそうだ。
アカウントを運営し続けて約5年間、今回話題になるまで目立った反響はなかった。辞めようと思ったこともあったという。それでも店の看板である出汁の魅力を伝えたいという一心で、従業員複数人が持ち回りで投稿を続けた。ツイッターでようやく日の目を浴びたことを受け、担当者はこう話す。
「なかなか見られることが少なく、反響がなかったので、よく見つけてくださったなと思います。辞めることなく、何年も続けてきてよかったと社内で喜んでおります」