部員たちに愛される仙台育英・須江航監督の人柄を象徴する光景だった。2022年8月22日に開催された全国高等学校野球選手権の決勝戦で仙台育英が8―1で下関国際を破り、東北勢初優勝を飾った。
閉会式を終えると、仙台育英ナインが一塁側のアルプス前に向かう。笑顔の選手たちに囲まれて、須江監督の胴上げが行われた。
108年目で初の「白河の関越え」
「胴上げはベンチ前で行われることが多いのですが、ベンチ外の選手たちや生徒たちと喜びを共有したかったのでしょう。涙を流してこの光景を見守るOBや父母の姿も見られました」(スポーツ紙記者)
1915年夏の第1回大会から108年目、大優勝旗が「白河越え」を果たした。仙台育英の歴史的快挙は東北だけでなく、日本列島で感動を呼んだ。須江監督の優勝インタビューも印象的だった。
「宮城の皆さん、東北の皆さんおめでとうございます!」と涙を流すと、「100年開かなかった扉が開いた。多くの人の顔が浮かびました」と思いを吐露した。
新型コロナウイルスの感染拡大で、日常生活に大きな不自由を強いられているが、その不自由が新たな日常になりつつある。だが、それは大人たちの感覚だ。現在の高校3年生たちはコロナ禍の中で入学し、多くの苦難を強いられながら、野球に打ち込んできた。須江監督は3年生部員たちへの想いを聞かれると、時折声を詰まらせながら言葉を紡いだ。
「青春って、すごく密なので」
「入学どころか、おそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて、高校生活はなんというか、僕たち大人が過ごしてきた高校生活と全く違うんですが、青春って、すごく密なので。そういうことは全部ダメだダメだと言われて、活動していてもどこかでストップがかかって。どこかで止まってしまうような苦しいなかで、本当に諦めないでやってくれた。
でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、やっぱり全国の高校生のみんなが、本当によくやってくれた。例えば今日の下関国際さんもそうですが、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、どんな時でも諦めないで、暗い中でも走っていけた。本当にすべての高校生の努力の賜物で、ただただ僕たちが最後にここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手をしてもらえたらなと思います」
スポーツ紙デスクは「歴史的なインタビューだったと思います。須江監督の熱い思いは高校生だけでなく大人たちに響いたのではないでしょうか」と振り返る。
高校野球、スポーツの素晴らしさを改めて再認識させられた熱い夏の甲子園だった。(中町顕吾)
??#第104回全国高校野球選手権大会??
— バーチャル高校野球 (@asahi_koshien) August 22, 2022
??優勝速報??
2022年、夏の甲子園の優勝は「#仙台育英」(宮城)
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