死去したSHALさん、がん闘病中に「ヘアドネーション」を支援 「私の娘も10代で」「ツイートを見て髪を伸ばし始めた」反響呼ぶ

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   急逝した3人組バンド「THE UNCROWNED」のボーカル・SHALさんは、がんとの闘病の日々をツイッターなどにつづり、その中で「ヘアドネーション」への支援を強く訴えていた。

   ヘアドネーションとは、小児がんの薬による副作用や脱毛症などで頭髪に悩みを抱える子供たちに、医療用のウィッグ(かつら)を無償で提供しようという活動を指す。大阪市内のNPO法人「Japan Hair Donation & Charity(JHD&C・通称ジャーダック)」が、日本で初めてこの活動を始めており、SHALさんもジャーダックに髪を送っていた。

  • 公式サイトでSHALさんの急逝を報告
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亡くなるまで、ツイッターのトップにヘアドネーションの投稿を固定

   SHALさんは2020年夏、子宮頸がんと診断され、そのことをツイッターなどで報告しながら、闘病を続けてきた。

   21年9月にがんが再発し、肺や骨に転移して、22年2月には、余命宣告も受けた。そんな中でも、春には、母親とイチゴ狩りに行ったり、サイクリングを楽しんだりして、気丈に明るく振舞ってきた。

   5月には、タレントの中川翔子さん(37)のバースデーライブに駆け付け、中川さんとも交流を深めて、自らの音楽活動にも前向きな姿勢を見せた。

   ところが、呼吸困難になるなど体調が悪化し、6月から入院生活に入った。それでも、中川さんの来年のライブに行くと約束したとして、がんと闘う姿勢を見せた。そして、7月15日には、バンドからセカンドアルバムを9月に出すと発表があり、SHALさんは、「私の夢がひとつ叶います」と喜んだ。

   一方で、鼻に管を通してベッドで横になる写真などを投稿し、やせてつらそうな様子にファンらから心配の声が上がった。SHALさんは、「ダメかもしれないけれど、ダメじゃないかもしれない!」「吐き気止めが効かない。息苦しくて泣く。 癌なんかに負けたくない」と揺れる思いを口にするようになった。

   そして、ブランコに乗って楽しそうな自らの写真を投稿し、「新しい月の始まり。8月も私らしく、生きていきたいです!!」と宣言した8月1日の投稿を最後に、ツイッターの更新はなかった。

   SHALさんは亡くなるまで、ツイッターのトップに、ヘアドネーションについて書いた20年7月13日の投稿を固定していた。

「偽善と言われようが、自分で決めたことは必ず。子供たちの役に立ちたい!」

   「闘うために髪を切りました」。その投稿では、がんと宣告されたときに、ヘアドネーションを行ったとして、こう記してあった。美容院とみられる場所で長い髪を切ったときの前後の写真を載せ、その髪を入れたらしい活動団体のジャーダックあての郵便物の写真も出ている。

   SHALさんは、そのちょうど1年後の21年7月13日、ツイッターで次のような報告もしていた。

「一年前、ヘアドネーションをしました。この活動が広まってほしいと今でも思っています。私は二度目のヘアドネーションのために、今髪を伸ばしています。 偽善と言われようが、自分で決めたことは必ず。子供たちの役に立ちたい!」

   ヘアドネーションは、1997年にアメリカで活動団体「Locks of Love」が設立されて始まったとされ、日本では、ジャーダックが2009年から初めて活動を行っている。

   公式サイトの説明などによると、31センチ以上の髪を20~30人分束ねて作り、完成まで3年以上かかるという。15年に俳優の柴咲コウさん(41)がヘアドネーションを行ってから、急速に活動が拡大した。芸能界では、水野美紀さん(48)やベッキーさん(38)らも参加し、いくつか他の活動団体もできて、その輪は全国に広がっている。

   SHALさんがツイッターのトップに固定した投稿は、2万件以上の「いいね」が付いている。その力強い発信に対し、「私の娘も10代でヘアドネーションしました。役に立ってるかな...」「SHALさんのツイートを見て伸ばし始めた髪がもう少しで目標の長さになります」とリプライが送り続けられている。

   実は、SHALさんがヘアドネーションを行ったのは、がんになってからではないようだ。

   SHALさんの兄が8月17日、本人のツイッターに投稿した母親の手記には、次のようにつづられていた。

「腰まで長く伸ばした髪の毛を切った時、何年も切らずに伸ばしていた理由を初めて話してくれました。ヘアドネーションへ寄付したこと、2人分のかつらを作れることをとても喜んでいた娘でしたが、神さまのいたずらなのでしょうか、数ヵ月後に自らも癌であることを知ることになりました」

   手記の最後には、きりりと前を見据えるSHALさんの遺影を写した仏壇の写真が添えられている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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