「提案型野党」を掲げたことが参院選の敗因のひとつだとする立憲民主党の総括について、国民民主党の玉木雄一郎代表が2022年8月17日朝放送のラジオ番組「岩瀬恵子のスマートNEWS」(ラジオ日本)で異論を唱える場面があった。
いわく「提案型が否定されたんじゃなくて、提案する内容が分からなかったというか、なかったんじゃないですか?響くものがね」。立憲の政策立案能力を疑問視した形だ。
「他党のことなので、あまり言いませんけど...」
立憲が8月10日に開いた臨時常任幹事会で了承した参院選の総括では、敗因を6つ列挙。最初に挙げた敗因が「党の支持率が低迷したまま選挙戦に突入したこと」で、
「『提案型野党』を標榜したことから、国会論戦において『批判か提案か』の二者択一に自らを縛ることとなり、意図に反して立憲民主党が『何をやりたい政党か分からない』という印象を有権者に与えることになった」
などと説明していた。
玉木氏は番組で、参院選でも公約に掲げた「給料が上がる経済」について説明する中で、
「やるんだったら、いくらでも協力しますから。野党も反対ばっかりしてるんじゃなくて、とにかく賃金を上げる政策を出せばいいんですよ」
などと主張。司会の岩瀬氏が
「反対ばっかりしてるのは良くないっていうのは分かるんですけど...」
と立憲の例に言及すると、玉木氏は次のように指摘した。
「どうなんでしょう...他党のことなので、あまり言いませんけど、提案型が否定されたんじゃなくて、提案する内容が分からなかったというか、なかったんじゃないですか?響くものがね。だから私は、やっぱり野党であっても、おかしいことをおかしいと言うけど、その代わり『これでやろう』と言ってやらないと、なかなか難しいと思うので...」
立憲は参院選のキャッチフレーズとして「生活安全保障」を掲げ、「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」の3つを柱に据えた。この3つを「医療・健康・コロナ対策」「雇用・年金・ベーシックサービス」「経済・産業・イノベーション」「環境・エネルギー」「地域・農林水産・災害対策」「人権・女性・障がい・多様性」「政治・行財政改革」の7つの政策分野を通じて実現を図る構造で、220ページ以上にわたる「政策集」で具体的な政策も公表していた。
「選挙公約および政策が、結果として有権者に浸透しなかった」
立憲の「総括」では、5番目の敗因として「選挙公約および政策が、結果として有権者に浸透しなかった」ことを指摘。政策立案能力そのものではなく、伝え方に問題があったと分析している。
「国会活動において我が党は、質問 ・論戦は勿論、 政府への要請や法案提出などは他党よりも熱心に取り組んだとの自負があり、実績もあげているが、それらのことは有権者にはほとんど伝わっていない」
国民民主は政府提出の予算案に賛成し、他の野党から批判を浴びた。だが、玉木氏によると、参院選では「『そこが駄目だ』という話はほとんど聞かなかったですね」。比較的支持が厚い若年層からは理解が得られた一方で、高齢者からは批判が多かったといい、世代間の溝も浮き彫りになっている。
「むしろ若い人はね、『とにかく政策実現してくれ』ということでしたし、そのことに対して比較的前向きに応援してくれる人も多かったのも事実」 「若い人、現役層はむしろ『いいよ』という人がいたし、OBの方、かなり年配の方は『なんで賛成してんだ』みたいなことを言われる方もいらっしゃった」
番組では、政治と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も話題になった。玉木氏は16年、自身の後援会である政治団体が、教団系の「世界日報」元社長から2回にわたって計3万円の寄付を受けていたことが明らかになっている。玉木氏は、元自民党議員が主催する勉強会で講演した際に「確か、会費をいただく形の会費を寄付金処理したのだと思う」と説明。「正直私自身、そういう関係は全くない」と話した。フランスの「反セクト法」の専門家を呼んで話を聞き、法制化も検討したい考えだ。
「『けしからん、けしからん』だけではなく、反社会的な動きが仮にあるとすれば、政治家が距離を置くだけではなく、社会全体が距離を置くべき。その基準を、信教の自由との関係で、明確にしておくことが大事」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)