外務省や愛知県が「コスサミ」を支援する狙い
外務省の文化交流・海外広報課は、2006年からイベントを後援し、2009年から実行委員会に参加していると述べる。必要な場合には国際交流の活性化について助言などを行っているという。
「日本初のポップカルチャー、アニメや漫画、ゲームなどの発信を通じて、海外の若い世代に日本への関心を広めることが目的です。コスサミは国際交流の活性化に大きな貢献をしています。イベントを通じてたくさんの国々の若者の間で相互理解、文化を通じた国際交流を高めていけると考えております。
2007年からはチャンピオンシップの優勝チームに外務大臣賞を授与しており、参加チームの励みにしてもらえたら嬉しいです」
さらに外務省の担当者は、コロナ禍が落ち着いて往来が元通りになれば、将来的にはインバウンドも期待できるのではないかと話す。
企業からの期待も大きい。紅茶専門店「ロンネフェルト・ティ・サロン・名古屋」などを手掛ける、イベントのオフィシャルスポンサー・インペリアルグループ(名古屋市)の清水裕介代表は取材に対し、こう話す。
「『名古屋飛ばし』とも言われるように名古屋は通過点になりやすくイベントなども少ないです。また多くの文化の発信地が東京に偏る中で、名古屋から世界に発信できるものがあるのはとてもありがたいです。コスサミでお店にも多くの海外代表のコスプレイヤーさんが訪れてくれました」
会場では自身も「東京卍リベンジャーズ」のコスプレを楽しんでいた。
愛知県観光コンベンション局観光振興課は、今年で20周年を迎え多くの参加者を迎えるコスサミは愛知県名古屋市・栄を代表するイベントだと話す。
「今後の国際的友好関係を築く交流の場としてもらいたいと考え、実行委員会として支援しています。2019年には、40の国と地域から約30万人が集まりました。各国の代表コスプレイヤーが来日し、付随して観覧目的の多くの人々が訪れます。SNSだけでなく直接一堂に会して交流できる場所を提供できるという点でも有意義なものだと思います」
このようにコスサミは国際交流の場として期待されている。実際に海外の代表コスプレイヤーが集う「ワールドコスプレチャンピオンシップ」の参加者たちは、コスプレを通して多くの国と地域の友人ができたと話す。
一方で、オアシス21周辺で撮影や交流を楽しむコスプレイヤーたちの多くは取材に対し、ワールドコスプレチャンピオンシップを観覧したことがなく、海外のコスプレイヤーと交流することはほとんどないと話す。
こうした現状をどのように受け止めているのか、前出の小栗さんに尋ねた。