ジャーナリストによるパリコレ人気投票で1位
三宅さんを先頭ランナーとする日本人ファッションデザイナーの当時の活躍ぶりは、1992年12月15日号のアエラ「『パリコレ』飾る3人の日本人」という記事がわかりやすい。
筆者のファッションジャーナリスト、藤岡篤子さんによると、毎年3月と10月に開かれるパリコレクションには、世界から約100人のデザイナーが登場する。日本人は10数人。そのうち特に人気が高いのは、73年にパリ進出を果たした三宅さんと、82年にデビューした川久保玲さんと山本耀司さんの3人。
フランスのモード業界紙「ジャーナル・ド・テキスタイル」は、コレクションごとに、バイヤーとジャーナリストによるデザイナーの人気投票を行っている。
バイヤーには市場性を、ジャーナリストには創造力を占ってもらう。
バイヤーの投票で92年10月は、5位に三宅一生、7位に山本耀司、10位に川久保玲。20位内の日本人は、この3人だけだ。
ジャーナリストの投票では、1位が三宅一生、4位に川久保玲、8位に山本耀司。やはり20位内に他の日本人は入ってこない。16位のアルマーニ、18位のサンローランよりも上位に日本人が入っている。外国人で10位内に3人も入っているのは日本人だけだ。
藤岡さんは、「日本人デザイナーは知性的で前衛的な才能に溢れている、という神話を作り上げた立役者」が三宅さんだった、と書いている。自らがパリコレの開拓者となり、さらに後進の日本人を引き入れた功績も大きかった。
NHKの取材に、学生時代からの友人で、ファッションデザイナーのコシノジュンコさんは、「ファッション界で永遠に名前の残る人だと思う」と語っている。