夏の全国高校野球選手権に6回目の出場を果たした千葉県船橋市立船橋高校について、実況中継したNHKのアナウンサーが「しりつふなばし」と呼んだことについて、ネット上で違和感を訴える声が続出している。
「強豪ぞろいの千葉、その混戦の千葉大会を15年ぶりに制しました『しりつふなばし』高校です。この夏勝てば、初戦勝ちますと、25年ぶりの勝利ということになります、『しりつふなばし』高校です」
応援曲については、「市船(いちふな)ソウル」と紹介
2022年8月8日夕、この日最後の第4試合目となる興南(沖縄)との試合が始まると、NHKアナは、このように市立船橋について紹介した。
試合中も、「しりつふなばし」と言い続けたが、4回裏の市立船橋の攻撃で、3塁側応援席の様子をリポーターが伝えるときは、ちょっと違った。同校の愛称「いちりつふなばし」を使った応援曲について、その略称を使った「市船(いちふな)ソウル」と紹介した。
続いて、試合の実況に移ると、NHKアナが次のように略称について説明した。
「『いちふな』というような呼ばれ方もしますが、学校名は『しりつふなばし』です」
この試合は、市立船橋が劇的なサヨナラ勝ちで接戦を制し、6対5で興南を下して2回戦に進んだ。
ところが、試合中から「しりつふなばし」との読み方はおかしいと、ネット上で疑問の声が相次いだ。「しりつふなばし?どこの高校?」「『いちりつ』って読んでくれないとむずむずして気持ち悪い」「千葉県民は『いちりつふなばし』と読む」といった反応だ。もっとも、「アナウンサーだからこそ敢えて『しりつふなばし』と読まなきゃいけない」と擁護する声もあった。
千葉県の地元紙のスポーツ担当公式ツイッター「千葉日報スポーツ」も8日、「『しりつふなばし』じゃないですよね。千葉県内ではありえないですが...」と投稿したほどだ。
どう呼ぶのが正しいのかについて、市立船橋高校の教頭は9日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「しりつ」呼びでいいのか、NHKから高校に事前確認が
「正式な読み方としては、『しりつふなばし』です。ただ、『いちふな』が愛称になっていますので、『いちりつふなばし』と使われることがほとんどですね」
いちりつとの呼び方は、「私立」と区別するときに一般的に使われるが、千葉県では、県立船橋高校が競合するため、主に県立と区別するために呼ばれるという。県立船橋は、「ふなこう」「けんふな」との愛称がよく使われるそうだ。
教頭によると、NHKからは、市立船橋の読み方について8月に入って試合前に確認の連絡が入った。放送するに当たって、「しりつ」と正式な名称でいいかと聞いてきた。学校では、愛称の呼ばれ方もあることを伝え、NHKからは、放送中に愛称についても触れたいと話があったという。
しりつふなばしの読み方について、教頭は、「放送の決まりに準じてやってもらえればいいと考えています」と問題視しない考えを示した。
なぜ「しりつふなばし」との読み方にしたのかについて、NHKの広報局は8月9日、取材に対し、次のようにメールで答えた。
「学校の正式名称の市立(しりつ)船橋高等学校を使っています。高校駅伝など他のスポーツ中継などの場合でも『しりつ』と読んで放送しています。地元では『いちふな』の呼び方で親しまれていることは承知しており、放送のコメントでその名称を使用することはあります」
高校への連絡でどんなやり取りをしたかについては、「個別の取材や制作に関することについては回答しておりません」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)