象印マホービン(大阪市北区)の生活者とのコミュニケーションが、賞賛とともに注目を集めている。
「ご期待に応えられていたらよいのですが...!」。同社は2022年8月8日、新商品発売を機にこんなメッセージをツイッター利用者に送った。
2年前の"約束"を果たした格好となり、受け取った女性は「ユーザーに寄り添った対応で非常に嬉しいですし、素晴らしく感動しました」と感無量だ。
「淡いパープル出たら絶対に買います...」
象印は8月8日、水筒シリーズ「シームレスせん」のステンレスマグを刷新すると発表した。9月1日から新色「ライラックパープル」の投入などを予定する。
発表に合わせ、同社は一般のツイッターユーザー・めろうさんにリプライ(返信)を送った。「こんにちは!この度シームレスせんに新しいカラーバリエーションが仲間入りしました」「ご期待に応えられていたらよいのですが...!お時間のある時に、ぜひご覧ください」。
なぜわざわざ個別に報告したのか。これには前段があった。約2年前の20年10月、めろうさんはステンレスマグへの要望を全体向けに書き込んでいた。
なんの気なしに「パッキンが一体型になったありがたい象印のボトルにパープルがあったら即決なのに...」とつぶやくと、4時間後に象印から「興味を持っていただきありがとうございます!カラーについて貴重なご意見ありがとうございます」と返信があった。
めろうさんは驚きつつ、「我儘申し上げてすみません!(中略)パッキン洗うのいつも面倒だなと思ってますのでとても惹かれています...淡いパープル出たら絶対に買います...よろしくお願いします......」と直接伝えていた。
「最初何のことだか一瞬分からなかったです(笑)」
めろうさんが、2年越しに象印からメッセージが届いたというエピソードを感慨深げに共有すると、9万以上の「いいね」を集め、象印への好意的な意見が次々に寄せられている。
20代の女性だというめろうさん。応援している男性アイドルグループ「King & Prince(キングアンドプリンス)」の岸優太さんのメンバーカラー「紫」の物を収集していることもあり、同色のステンレスマグを探していた。
当時のやり取りを「期待感は正直なところそこまで思ってなかったです。参考として一意見に耳を傾けておられるんだなと思いました」と取材に振り返り、2年越しの突然の報せには「とても驚き、最初何のことだか一瞬分からなかったです(笑)」と目を見張った。
「もちろん私の要望が通ったのではなく同じように様々な媒体で意見を拾い耳を傾けられ努力を重ねた上での商品展開だったと思います」としつつ、「ユーザーに寄り添った対応で非常に嬉しいですし、素晴らしく感動しました」と企業姿勢を評価した。
象印広報部は9日、J-CASTニュースの取材に、新色投入の経緯を「様々なコミュニケーション活動の中で、お客様から頂いた意見は商品開発にフィードバックしており、グループインタビューなどで人気の高かったパープルが商品化となりました」と話す。
同社はSNSでの"生の声"を傾聴する「ソーシャルリスニング」を重要視しているという。マーケティング部がツイッターを運用しており、ユーザーとの対話にも積極的に取り組んでいる。企業スローガンに「日常生活発想」を掲げているためだ。
ステンレスマグの刷新もツイッターの声を参考にした。担当者は反響に「2年前はご希望のカラーにお応えすることができなかったため、今回こうして実現できて弊社としても嬉しく思っています」と声を弾ませた。