プロ野球・阪神タイガースのファンだというYouTuberのトラヤマさんが、2022年8月7日に公開した動画の中で、6日の「広島原爆の日」に行われた広島対阪神戦で阪神がサヨナラ負けしたことを「原爆投下された」と表現し、批判を集めている。
トラヤマさんは「認識が甘かった」と謝罪。取材には「感情任せにあまり考えずにそのまま使ってしまいました」「原爆と絡めたことは本当にやってはならないこと」とした。
「流石に不謹慎すぎます」「本当にあり得ない」
6日に広島・マツダスタジアムで開催された試合は「ピースナイター2022」と題し、5回終了時に観客が緑色のポスターを掲げるなど、平和を祈念する内容となった。試合は9回裏に秋山翔吾選手がタイムリーを打ち、広島が6-5でサヨナラ勝ちした。
トラヤマさんは7日に「【惨劇】原爆落とされた並みの衝撃的な逆転サヨナラ負け」などと題した動画を公開。動画のサムネイルには「大逆転サヨナラ負け 最終回に阪神 原爆投下された」と書かれていた。
動画内では「なんやコラァ!なんやこの試合は!今日は原爆の日。平和記念の日。ピースナイターとか称しといておい、こんなイジメみたいな、イジメみたいな逆転サヨナラが...(聞き取り不能)コラァ!」と、原爆の日と絡めて阪神の負けを嘆いていた。
動画のコメント欄には「流石に不謹慎すぎます」「本当にあり得ない」「広島県民です。悲しいです」「同じ阪神ファンとして、いや同じ日本人として恥ずかしい」などと批判的な声が殺到していた。
7日、トラヤマさんはツイッターで「登録者が10人減ったのでさすがにサムネとタイトルを変えました」と投稿。動画のタイトルからは「原爆落とされた並みの」という文言が削除され、サムネイルは「ありえない逆転サヨナラ負け」に変更された。動画の内容も9日までに「原爆」に言及した部分がカットされている。
「認識が甘かったです」
トラヤマさんは7日にYouTubeで「今後について」と題した動画を公開。批判された動画について「軽々しくタイトル、サムネに『原爆』という文字、動画の中で『阪神、この逆転サヨナラ負けは原爆が落とされたようなもんや』という表現をしてしまい、申し訳ございませんでした」と頭を下げた。トラヤマさんは原爆に対する認識が甘かったとし、「そこに関してはしっかり反省していく」とコメントした。
一方で、活動休止などはせず、7日の試合からは「通常通り」動画を配信していくと説明。また、新たに公開する動画のコメント欄に、今回の動画を批判するような書き込みがあった場合、コメントを削除するとした。
「それとこれとは別なんで、話が。起きてしまったことは起きてしまったこととして反省をして、またその日から、切り替えて頑張っていく。これが正しいやり方だと思うんで」
「炎上した動画、1個2個あると思うので、その動画に関してはいくらコメント書いてもらって大丈夫なんで」
この「今後について」と題した動画は9日までに削除されている。
トラヤマさんは7日にツイッターで「はだしのゲンを全巻読んだ経験があるにとかかわらず原爆について認識が甘かったです。申し訳ありませんでした。今日からまたYouTube投稿がんばります」(原文ママ)と投稿。8日にもツイッターで「今回の炎上の件は認識が甘かったです。申し訳ありません。今日から切り替えて頑張ります」と伝えた。
トラヤマさんのツイッターアカウントには「動画削除が先では?」「ユニに袖を通さないで」「広島の人に対してだけじゃなく多くの日本人をも侮辱する行為だってこと忘れんな」などと、批判的な声が相次いで寄せられている。
「認識を改めて生きていきたいです」
なぜ、原爆と阪神の負けを絡めた動画を投稿したのか。トラヤマさんは8月8日、J-CASTニュースの取材に「衝撃的な負けを表すパワーワードとして、8/6ということもあり原爆の2文字が出てきました。その時、怒りという感情もすごくあり、その感情任せにあまり考えずにそのまま使ってしまいました」と説明する。
トラヤマさんは「原爆と絡めたことは本当にやってはならないことだと思います。今となっては反省しております。広島の人々、全国の原爆の被害者の方、全国の皆さんに大変失礼なことをしたと思っております。その方々のお気持ちを踏みにじる行為をしてしまったと反省しております。原爆の被害の甚大さをもう一度見つめ直し認識を改めて生きていきたいです」とした。
動画を削除しない理由については、動画のタイトルやサムネイル、動画内から「原爆」に関する表現を削除したことを挙げ、「たとえ黒歴史になろうことでもそれが人生なので消すことはしません」と説明した。トラヤマさんは8日に改めて謝罪動画を公開している。