2022年8月4日から5日にかけて東北・北陸地方を記録的な豪雨が襲い、交通インフラにも影響が出ている。JR北陸本線では駅の冠水や線路の道床流失、土砂流入などが起き、11日始発まで武生(福井県越前市)-敦賀駅(同敦賀市)間で運休が続く。
代わりにこの区間を結んでいるのは、JRによる「代行バス」ではなく、福井県が運行を始めた「災害時緊急バス」。代行バスの場合は鉄道と同様の運賃が必要なことが多い。ただ、今回のバスは無料で乗ることができる。
福井県が福井鉄道のバスを借り上げて運行
バスは8月8日朝から運行を開始。武生駅と敦賀駅を1日10回、同時刻に出発し、途中駅には寄らず両駅を直通する。8日は緊急車両のみ通行可能だった国道8号を通り(9日に通行止め解除)、9日からは北陸道の武生IC-敦賀ICを通っている(一般車は上り線のみ10日0時に通行止め解除予定)。
JR西日本の発表では「不通区間のバス等による代行輸送は行いません」。運休区間のきっぷは、有効期限の延長や手数料なしの払い戻しで対応する。北陸本線が不通になったことで、大阪と金沢を結ぶ特急「サンダーバード」や、名古屋と金沢を結ぶ「しらさぎ」も運休になる。一方で、福井と金沢を結ぶ「ダイナスター」の臨時列車を走らせ、金沢から北陸新幹線を乗り継げるようにしている。福井から名古屋、大阪方面に向かうルートとして(1)東京で東海道新幹線に乗り継ぐ(2)富山で高山本線の「ひだ」に乗り継ぐ(3)長野で中央本線の「しなの」に乗り継ぐ、の3つを想定。JR西日本の金沢支社では、鉄道の復旧や迂回(うかい)ルートの強化を優先したと説明している。
福井県の交通まちづくり課によると「災害時緊急バス」の運行は「県としての判断」で、費用は県が負担。県が福井鉄道のバスを借り上げている。運賃を無料にした理由は「逆に有料にすると、道路運送法上の許認可手続きに時間がかかる」ためで、県民の足を確保することを急いだ。バスの運行は10日まで。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)