世界最大級のコスプレイベント「世界コスプレサミット(通称コスサミ)」が2022年8月5日から7日にかけ、愛知県名古屋市で開催された。外務省、愛知県などで構成される実行委が主催しており、今年で20回目の開催となる。
世界各国で選ばれた代表コスプレイヤーがパフォーマンスを競う「ワールドコスプレチャンピオンシップ」が開催されたほか、コスプレ撮影会やパレードなども実施された。
フランス代表が印象的だったのは「ドンキストア!」
コスサミは、マンガやアニメ、特撮、ゲームなど日本のポップカルチャーに親しむ人々がキャラクターに扮する「コスプレ」を楽しむイベント。2019年には、40の国と地域から約30万人が集った。
目玉イベントは、世界一のコスプレパフォーマンスチームを決定するチャンピオンシップ。2人1組のチームで自作のコスプレ衣装を着用し、2分30秒以内のステージパフォーマンスを競う。世界各地の予選を勝ち抜いたチームが来日し、名古屋の舞台で最終決戦に挑む。
今回はコロナ禍により来日できないなどトラブルが発生したチームもあったものの、10か国の代表が愛知芸術文化センター大ホールに集結。フランスチームが優勝を果たした。
フランス代表のハザリオさんとベリルさんは、「美少女戦士セーラームーン」を題材にリズミカルな音楽に合わせて変身。合計9着の早着替えを披露し、軽快なダンスで会場を沸かせた。
セーラームーンなどを演じたハザリオさんは大会後の記者会見で、「ウララ!」とフランス語で驚きを発し、「1週間の来日はとても短く感じました。次に来る時はもっと長く滞在したい」と述べる。日本で印象的だったものを尋ねると、笑顔で「ドンキストア(ドン・キホーテ)!」と答えた。
セーラーちびムーンなどを演じたベリルさんは「すべてがアメイジング!」と振り返り、フランスにはない夏の暑さが印象的だったと話した。
日本に来ることを楽しみにしていた代表たち
ステージパフォーマンスは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で20年と21年は中止となっており、今回が3年ぶりの開催だった。
オーストラリア代表、タイガクンさんとナタリーさんは、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のコスプレで2位に輝いた。3年前の予選で来日が決定していたため待望のイベントだったと振り返る。
「本当に長い3年間でした。ようやく日本に来られて、舞台で2位を受賞できてうれしいです。アメイジング!」
タイガクンさんは今回が2回目の来日で、とても楽しく過ごせたと振り返る。父も日本が大好きで、メールでもおすすめの場所を伝えてくると話した。ナタリーさんも、山や海など素敵なところがたくさんある日本が大好きだとして、来日できてよかったと語った。
3位は、「エルデンリング」のコスプレを披露したタイ代表。ジャスパーZさんとテイムス・メルローズさんは、スクリーンにゲームの実況画面を投影し、自らは操作されるキャラクター達を演じた。テイムスさんは「6時間衣装を着ていて緊張からトイレに行きたくて仕方ない」などと語り、取材陣を笑わせた。
優勝者たちには海外のメディアからも質問が殺到していた。
「出場した40か国ほどの国と地域のコスプレイヤーの友達ができました」
J-CASTニュースは、2018年の元日本代表のコスプレイヤー、みおしさん(@miolen320)とみおまよ(@miomayocom)さんにコスサミの魅力を取材した。
「私たちは2018年に出場しました。日本代表と言うだけで、拙い英語でもコミュニケーションを取ってもらえます。アニメや歌で日本語を覚えている人も多かったです。 出場をきっかけに国際交流する機会がとても増えました。出場した40か国ほどの国と地域のコスプレイヤーの友達ができました。今でも出来上がった衣装を見せ合ったり、作り方を共有したりしています」
2人は今回、チャンピオンシップのステージイベントの手伝いで登壇していた。開場前には、ファンの女子中学生に声をかけられていた。女子中学生はチャンピオンシップに出場することが夢で、みおしさんとみおまよさんに憧れているのだという。2人は「チャレンジをきっかけに知ってくれる人が増えてありがたく、勇気づけられています。今後もコスサミが素敵なイベントだと発信していきたいです」と意気込んだ。
チャンピオンシップについては長引くコロナ禍を受けて、21年からはオンラインでのビデオ審査「Video Division」も導入されている。今年は7日に「Video Division」も開催し、「ファイナルファンタジー15」を演じたスウェーデンチームが優勝。2位はメキシコ、3位はタイだった。
街の中にも海外のコスプレイヤーたちが登場
5日の前夜祭から、ワールドコスプレチャンピオンシップが開催される6,7日には、栄の商業施設「オアシス21」を中心に多数のコスプレイヤーが集う。周辺の公園ではコスプレイヤーやカメラマンによる交流が行われていた。J-CASTニュースは撮影に興じるコスプレイヤーたちに取材した。
ビリー・ブルーさんは6日、「バイオハザード0」の主人公「ビリー・コーエン」に扮していた。日本のアニメやマンガに魅了され、約12年前にイギリスから来日。イベントに参加するために、東京からやってきた。
「写真を撮る側でコスプレを楽しんでいましたが約10年前、友達とネタでやってみようとコミックマーケットで『進撃の巨人』のコスプレに挑戦したら、意外と楽しかった。もっとかっこよくキャラになりたくてコスプレを続けています。
コスサミは各国の代表など、世界から集まったクオリティの高いコスプレを見ることができます」
「ゴールデンカムイ」の杉本佐一に扮していた日本人のコスプレイヤー・蟷螂山さんは、コスサミについてこう話す。
「コスプレサミットはコスプレイベントの中でも独特なイベントで、街全体でコスプレを受け入れており会場が区切られておりません。自宅などで衣装に着替え交通機関を利用して会場に訪れることができる、海外のイベント形式をとっており、これが『世界』コスプレサミットなんだなと感じます。
街の人もコスプレに慣れていて、家族連れや海外のコスプレイヤーさんも多いです」
様々なコスプレイベントに参加しているものの、1番好きなイベントがコスサミだという。会場に訪れていた人々との交流を楽しんでいた。
7日正午には、大須商店街ではコスプレイヤーたちによるパレードが行われた。優勝国のコスプレイヤーを先頭に、大須観音から街中を練り歩いた。
カメラを向けたりエールを送ったりする街の人々に対し、コスプレイヤーたちは笑顔で手を振る。目を輝かせる小さな子供に対しては、「ワンピース」のルフィに扮したコスプレイヤーは近づいてポーズを披露していた。ステージで優勝を果たしたフランスチームは人々とのツーショットにも応じていた。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
また来年、そしてずっとずっと
— コスサミ公式 20周年ありがとうございました (@cosplay_summit) August 7, 2022
私たちはCOSPLAY EVERYWHERE!!
いつまでもこの文化が発展しますように
本日はご来場・ご視聴いただきありがとうございました。ご帰宅の際はお足元に気をつけてお帰りください。#コスサミ2022 #コスサミ #WCS2022 #WCS pic.twitter.com/Muk4bsoBXt