「募集要項が既にショートSF」星新一賞にネット驚き 「人間以外」も応募可、AI小説の受賞例も

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   日本経済新聞社が主催する文学賞「星新一賞」の募集要項が、独自性があって面白いとネット上で話題になっている。人工知能(AI)など「人間以外」からの応募作品も受け付けるという。実施の経緯を聞いた。

  • 第10回 日経「星新一賞」公式サイトより
    第10回 日経「星新一賞」公式サイトより
  • 第10回 日経「星新一賞」公式サイトより
    第10回 日経「星新一賞」公式サイトより
  • 第10回 日経「星新一賞」公式サイトより
  • 第10回 日経「星新一賞」公式サイトより

「まさに星新一の世界」

   超短編小説「ショートショート」で人気を博すSF作家・星新一氏の名前を冠した同賞は、今年で第10回を迎え、2022年9月30日まで作品を受け付けている。

   2部門に分かれており、中学生以下を対象にした5千字以内のジュニア部門の課題は「100年後の未来を想像して物語を書いてください」。1万字以内とする一般部門は、「あなたの理系的発想力を存分に発揮して読む人の心を刺激する物語を書いてください」。

   ユニークな募集要項は次の2点だ。あるツイッターユーザーが7月28日に驚きをもって紹介すると、大きく注目された。

「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます。ただしその場合は、連絡可能な保護者、もしくは代理人を立ててください。人工知能をどのように創作に用いたのかを説明して頂く場合があります」
「人工知能を創作に用いた場合でも、審査に影響する事はありません。またその情報は審査期間中は審査員へ明かされません」

   投稿は1万7000以上のリツイートや5万1000件超の「いいね」を集め、「これは面白い」「募集要項が既にショートSF」「まさに星新一の世界ですき」「流石すぎる」と感心する声が寄せられている。

   日経の広報室は8月2日、賞を創設した経緯を、「星氏が遺した多くの作品のような、形式にとらわれない理系的な発想力、想像力を懸賞する新しい文学賞として2013年に創設しました」と、J-CASTニュースの取材に説明した。

   先の要項を設けた理由は「賞の目的から、AIを使用した作品の応募も可能としました」と答える。実は初回から、人間以外の作品を受け付ける旨が応募規定に記されていた。

AIを除く「人間以外」からの応募は?

   総応募数は第1回が最多となる3057作、以降は年によって1900〜2600作ほどを推移している。うちAIが創作に関わったものは第3回から現れ、第9回までそれぞれ、11作、11作、7作、5作、2作、14作、114作が集まったという。

   AIをどのように作品に関わらせるかは、作者の裁量に任されている。例えば第3回の一次審査を突破した公立はこだて未来大学・松原仁教授(肩書は当時)率いる研究チームは、人間が定めた登場人物や状況などの主要な設定をもとにAIが自動出力した小説を応募した。

   第9回では初めて、一部にAIを用いた作品が一般部門の優秀賞を獲得した。葦沢かもめ氏の「あなたはそこにいますか?」だ。同氏は受賞コメントでAIとともに3週間で101作を執筆、応募したと明かしている。

   AI作品の動向に注目が集まっている同賞だが、募集要項によれば、AIに限らず「人間以外」からの応募を広く受け付けている。ただし、これまでに応募は「ありません」と広報は述べた。

姉妹サイト