「サイゼリヤ論争」SNSでなぜ白熱? 「多様な推し方が存在」批評家が考えるアイドル文化との共通点

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サイゼへの「愛」ゆえに...意見が対立?

   なぜ、ツイッターではサイゼリヤをめぐる議論が白熱するのか。J-CASTニュースは7月27日、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の魅力を伝えた著書「ドンキにはなぜペンギンがいるのか」(集英社新書)で知られ、チェーンストア文化に詳しい1997年生まれのライター・批評家の谷頭和希さんに話を聞いた。

   谷頭さんはチェーンストアとしてのサイゼリヤの特色を、次のように分析する。

「創業者の正垣泰彦さんの著書『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』(日経BP社)にも出てきますが、サイゼリヤには『コーディネーション』の思想が流れています。服をコーディネートするのと同じように、利用客が自分のやりたいように料理を頼めることを重視している。学生であれば300円のパスタだけを食べてさっと出ることもできるし、社会人が『今日はちょっと飲もうかな』と思ったら、ワインを飲んで、前菜をつけて......という頼み方もできる。何より価格が安いので、結果として多くの人に門戸が開かれ、様々な楽しみ方が生まれているのではないでしょうか」

   利用者はそれぞれの方法でサイゼリヤを楽しみ、それぞれに異なる思い出がある――。ツイッターは、そうした自分なりのサイゼリヤへの「解釈」を共有しあう場となっている、と谷頭さんは語る。

「人々の間で多様な『推し方』が存在していて、ツイッター上では都度、その解釈がシェアされている。ツイッターではもともとファンダム(編注:熱狂的なファン文化)コミュニティが盛んなこともあり、サイゼリヤもある意味で『アイドル』的な愛され方をしていると言えるのかもしれません。一般的なチェーンストアがここまで熱狂的に愛されるケースは、珍しいのではないでしょうか」

   しかし、それぞれの「サイゼ愛」が共有される一方で、自分と異なる解釈が目に留まれば、それに対する反発心も生まれる。谷頭さんは上述の議論を見る中で「推しのアイドルが、自分と違う解釈をされたときの怒りに近いような印象」を抱いたという。特に、サイゼリヤの使い方をめぐって意見が対立した「デート論争」は「アイドルグループのメンバーの中で誰を『推す』のか、というファン同士の『勢力争い』に近い熱量を持っていた」と分析する。

   サイゼリヤへの「愛」ゆえに、白熱する議論。この先も、ツイッターを賑わすことになるのだろうか――。

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