「タイトーステーション着いた」――。千葉県いすみ市にある太東(たいとう)駅を訪れたツイッターユーザーがこんな投稿をしたところ、ゲームセンター「タイトーステーション」を手がけるタイトー(東京都新宿区)の公式アカウントが「違うよそこ」とツッコミを入れ、話題を呼んだ。
思いがけない一致が生んだ笑い話だが、実はタイトーも漢字の「太東」に縁がある。太東駅とタイトー、それぞれの名前の由来とは。
「電車でGO!!設置店ではございません」
太東駅は房総半島の東側、太平洋沿いを走るJR外房線の駅。2021年度の一日平均乗客数は345人で、普通列車しか止まらない小さな駅だ。
ツイッターユーザーのGBSタナカさん(@GBSx68k)さんは、22年7月25日に同駅を初めて訪問。アルファベットで「TAITO STATION」と書かれた駅名票を撮影し「タイトーステーション着いた」と投稿した。
これはゲームセンターの「タイトーステーション」にかけたもの。実は太東駅とタイトーステーションを絡めた「ネタツイート」は、これまでもほかのユーザーが投稿していた。GBSタナカさんは29日、J-CASTニュースの取材に「ベタなネタ」のつもりで投稿したと振り返る。
このネタにツイッターユーザーたちがこぞって反応。「まごうことなきTAITO STATION」「確かにタイトーステーションだけども」「私の知ってるタイステじゃない」などと話題を呼んだ。
さらにタイトーの公式ツイッターは26日に「すみません。やっぱりこれ無視できませんでした。。違うよそこ」とツッコミを入れ、同社のアーケードゲーム「電車でGO!!」の公式ツイッターも「そちらのタイトーステーションは電車でGO!!設置店ではございません」と便乗した。
タイトー公式アカウントからの反応に、GBSタナカさんは「嬉しかったですね。息子と喜んでました」と振り返り、「町おこしでゲーセン駅などを企画して盛り上がればいいなと思います」と伝えた。
タイトーと太東、名前の由来は?
ツイートが話題になったことについて、タイトーの広報担当者は8月1日、取材に「今回のツイートをきっかけとして、皆さんがタイトーステーションを話題にしてくださったことをうれしく思っております。Twitterでの盛り上がりも楽しく拝見させていただきました」と喜びを伝えた。
そもそも社名の「タイトー」の由来はなんなのだろうか。同社は1953年に輸入雑貨品などを扱う「太東貿易株式会社」として設立。72年に社名をタイトーに改めた。奇しくも太東駅と同じ「太東」という漢字をルーツにしていたが、なぜ「太東」という字が使われたのだろうか。担当者は由来について「諸説ある」としつつ、こう説明する。
「"太平洋"と"極東"が由来とされています。タイトーの創業者であるユダヤ人のミハエル・コーガンが、太東貿易株式会社を設立する前に営んでいた個人貿易会社が太東洋行という社名で、その後設立した会社にも同じ文字を使用し、太東貿易となったといわれております」
一方、太東駅の方はどうか。8月2日、いすみ市郷土資料館の担当者に取材すると、駅から3.5kmほど南東にある「太東岬」がルーツだと説明する。太平洋に突き出た岬の名前は、1889年に周囲の村が合併した際の村名(太東村)にとられ、1899年開業の駅名にも使われた。ただ、太東岬の「太東」がどんな経緯で名づけられたかは分かっていないという。
タイトーの担当者は、太東駅との直接的なつながりはないと説明するものの、これまでも上述のようなネタが話題になっていたことから「そういった駅や地名があることは存じており、ご縁は感じておりました」と語る。
今回のツイートが話題になった際は、太東駅にタイトーステーションを出店してほしいと期待する声が聞かれた。実際に、「太東ステーション」周辺への出店予定はあるのだろうか。
「出店予定についてはお答えが難しいですが、千葉県では、タイトーステーションなどを10店舗以上展開していますので、ぜひ遊びに来ていただければと思います」