提案するも「俺の言うことを否定するのか」
・保守的で旧態依然とした企業体質
「優秀且つポテンシャルを持った若者が入社して来ているものの、彼らの能力や若手ならではの突破力を活かそうとの文化が見受けられず、旧来的な仕事のやり方やヒエラルキーに頼った組織運営が蔓延った結果、これまでの延長線上の仕事しかできず、競争力が年々後退していることが今の日野の姿と認識している」
「自分たちのやってきたことは正しいと思い込んでいる人たちにより、変革が進まないと感じることが多い。その方々は『今まで問題なかったのに、なぜ変えなきゃいけないんだ!』『俺の言うことを否定するのか!』などと恫喝ともとれる態度で接する傾向が見られる」
「改善提案に対し、デメリットを重視しメリットを軽視する。部署同士で利害がぶつかった時、全体最適を判断・選択・決定できる体制に無い。声が大きい部署の意見ばかり通る。他部署が絡む業務プロセス上の問題は何時もうやむやにされて何も変わらない」
・セクショナリズムや序列意識の強さ
「縦社会が強い風土が根強く残っているうえに、権限移譲が進んでおらず、なんでも上の方まで持っていく必要があるため、社長や役員へ報告・相談を行う。そこで、何か一言コメントしないといけないと思った上の人がコメントすると、それが宿題となってしまい仕事が雪だるま式に増える仕組みとなっている」
「他領域について意見を言わない(領空侵犯しない)風土(特に役員)。特に今回問題を起こしたエンジン開発部隊は、日野の中ではエリート部隊(或いは出世の登竜門)と言われ、口出ししにくい。何か言うと『俺たちエンジン部隊は大丈夫だから』と一蹴されるような状況」
・事なかれ主義、内向きな風土
「我々は『お立ち台』と呼んでいたが、問題が発覚して日程内に間に合わなければ、開発状況を管理する部署の前で状況を説明させられ担当者レベルで責任を取らされることになっていた」
「他社より転籍した当初より気になっているのが、優秀な社員もたくさん見る一方で、知りうる限りでは内向きの社内風土の強さ、悪い意味での仲間意識(仲間内で完結、企業の目的/ステークホルダー/ブランドへのロイヤリティよりも仲間内の論理が優先、仲間内での言い訳論理)、お客様よりも上司評価が風土として蔓延っている点」
・「傲り」や「慢心」による現状認識の誤り
「日野自動車の社風として、1 番を取れ、いすゞに負けるな、なぜできないんだ?、土日何やっていたんだ?等の精神論や正論での議論や指示が多い」
「大企業の庇護(編注:日野自動車はトヨタ子会社)のもと、社会のうねり、景況にさらされることなく存続できたことで、甘えとも思える企業風土、特に部長、役員クラスでの危機意識、当事者意識が欠如していると感じる」