韓国が2022年6月に観光ビザの発給を再開し、在外公館に申請が殺到する中、8月限定で日本人観光客のビザなし入国が認められることになった。ソウル市が8月3日に発表した。
ソウル市ではコロナ禍で大幅に減少した観光客を呼び戻そうと、8月10日から14日にかけて、大規模観光フェスティバル「ソウルフェスタ2022」が開かれる。同市は6月から文化体育観光省、法務省、外務省といった関係省庁とビザ免除再開に向けて協議を行っており、8月3日の関係会議で再開が決まった。発表では、ビザ取得に時間がかかることで「観光客誘致に支障が出ていた」と説明しており、ボトルネック解消で観光客増加を狙う。
韓国はすでに104か国・地域でビザ免除
日韓両国は90日以内の滞在であれば相互にビザなしでの往来が可能だったが、コロナ禍が本格化したことを受け、20年3月にビザ免除の運用を停止し、発行済みビザについても効力を停止していた。韓国観光公社の統計によると、観光ビザの発給が再開された22年6月に日本から入国したのは5855人で、21年6月の875人から7倍近くに伸びた。ただ、「コロナ前」の19年6月の28万2476人には遠く及ばない。
「コロナ前」の19年に韓国に入国した人を国・地域別に見ると、中国(602万人)、日本(327万人)、台湾(126万人)、香港(69万人)の順に多かった。それが21年には17万0215人、1万5265人、4130人、1258人にまで減少した。
ビザ免除を受けるためには、出発72時間前までに「電子旅行許可制」(K-ETA)に申請して許可を受けることが必要。駐日韓国大使館のウェブサイトによると、K-ETAはビザ免除が運用されている国・地域の人が申請でき、すでに104か国・地域が利用できる。8月4日から31日まで、新たに日本、台湾、マカオの人も利用できるようになった。在留資格は「観光・通過」で、在留期間は90日。
「ビザあり」、個人観光客未解禁の日本の対応も焦点
ソウル市の発表では、ビザ免除再開の経緯について
「最近訪韓需要が急増し、日本など在外公館でビザ発給に3~4週間以上かかるなど観光客誘致に支障が出ていた。今回のビザ免除再開の決定によりこれら(3か国・地域)からの韓国訪問及び旅行の不便さが改善される」
とも説明。手続きのボトルネックを解消すると同時に、在外公館の負担を減らす狙いもありそうだ。
発表では
「日本、台湾などについては相互主義などを理由にビザ免除での入国を中断してきた」
とも説明している。日本も観光客の受け入れを再開したものの、個人観光客は未解禁。ツアー客の場合も事前にビザの取得が必要だ。こういった中で韓国側が事実上一方的にビザなしの受け入れを再開した形だ。
円安が進む中、日本国内ではインバウンド需要に改めて期待を寄せる声もある。韓国では日本観光の人気は依然として高く、日本側の対応も焦点だ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)