脳科学者の茂木健一郎氏が2022年8月4日に公開したYouTube動画で、物議を醸していた「マスク真理教」という言葉を使ったツイートについて、投稿の真意を語った。
「マスクをしている人を揶揄したり、批判したりっていうことでは全くなくて」
茂木氏は3日、東京大学大学院総合文化研究科の池上高志教授が「この暑さで、みんなよく文句も言わずにマスクを」などとツイートしたことに、「あのねえ(笑)マスク真理教、もうそろそろいいよね。あほらしい」と返信。続けて、
「ぼくはどうでもいいことは世間に従うから、しているけれどもね。くそどうでもいいこと。
でもしていない人がいても、そもそもなんの気にもしないね(笑) 自分の頭で考えろ、と言いたい」
とも伝えていた。
茂木氏のツイートには、マスク着用の是非についてのコメントのほか、「マスク真理教」という表現を問題視する声があがっていた。
茂木氏は4日「『マスク真理教』とはなにか?」と題した動画を公開し、投稿の真意について語った。
「個々の状況で、それぞれの方が自分の判断でマスクをするということについては別に何でもなくてですね。一部勘違いされてる人がいて。マスクをしている人を揶揄したり、批判したりっていうことでは全くなくて」
と、マスクの着用そのものを否定する意図はないとした。
「価値一元論的な態度を僕は『マスク真理教』と呼んでる」
茂木氏はマスクをつけない人にも理由があると説明。肌が敏感な人や、マスクの着用によって呼吸に支障を感じる人の存在などにも触れた。その上で、社会にはさまざまな事情によってマスクをしていない人がいるとして、
「マスクをしていない人に対して批判の目を向けたりとかですね、(着用を)強制したりとか、そういうことは僕はいけないと思う。それを僕は『マスク真理教』と言ってるんですね」
と説明した。
マスクの着用については「トータルで見なきゃいけない」として、「マスクをしてれば大丈夫だとか、マスクをしなくてはいけないとか、そういう価値一元論的な態度を僕は『マスク真理教』と呼んでる」と指摘。次のようにまとめた。
「マスクをご自身がされていることは構わないですし、ある状況下でそれが必要とされることもかまわないと思いますが、それを他人に押し付けるのは止めましょう、ということですね」
「マスクをつけないことを他人に強制するのもおかしい」
一方で、茂木氏は「マスクをつけないことを他人に強制するのもおかしい」と主張。自身に「茂木さんが率先して外してください」などとする声が寄せられることにも違和感を覚えるとした。
公共交通機関やスタジアムなどで「強制的な感じ」のアナウンスでマスクの着用を促すのは、「どうなのかなと思う」。「エビデンスも論理的な思考もないんだと思いますね」とし、「公共の場におけるマスク着用の強制は、『マスク真理教』といっていいくらいの状況にあると僕は思ってます」とした。
茂木氏自身はアナウンスに従ってマスクを着用しているとするも、「しょうがないからつけてますよ。つけてるけど、心の中では『馬鹿野郎だなぁ』と思ってますね」としていた。