「乗客2人」から2年弱で黒字化視野 ZIPAIRはどうやって成長を遂げたのか...西田真吾社長に聞いた

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垂直尾翼から「Z」が消えた理由

ZIPAIRは制服にスニーカーを採用したことも話題になった
ZIPAIRは制服にスニーカーを採用したことも話題になった

―― 燃油高の原因のひとつが、ロシアによるウクライナ侵攻だと思います。6月15日には、垂直尾翼が新デザインになり「Z」のシンボルマークが消えることが発表されました。記者会見では、乗客から「(ロシアを支持するシンボルの「Z」と)『関係はあるのか』と尋ねられるようなことがあった」とも説明していました。

西田: 数は多くありませんでしたが、ありました。侵攻直後の2月後半~3月の前半にかけて、我々を応援してくださるお客様の一部から、批判というよりは、ご心配の声をいただきました。その意味では「何かしなければ」というのは、当時から思っていました。

―― 発表では「ポストコロナに向けてさらなる飛躍を期して」と説明していますね。

西田: これからの成長というのは、「米本土に1発飛ばして終わりじゃないぞ」という宣言と、そこから先、5~6機目で終わるつもりもなくて、少なくとも10機までは増やそうと思うので、これが出荷されてくる前に塗り替えてしまおう、というつもりでやっています(現時点で稼働しているのは4機で、25年度末までに10機に増やす予定)。

―― 水際対策の緩和は進んでいますが、乗客を増やすにあたって、一番ボトルネックになっているのは何だとお考えですか。入国者数の上限(2万人)、PCR検査の陰性証明書の提示、個人観光客が未解禁、など様々な論点がありそうです。

西田: 需要の規模で言えば、やはり海外パスポートの方の観光需要です。これを個人旅行で認めて欲しいですね。これが一番大きいですね。

―― 特にLCCはレジャー需要が多いですし、その内訳を見ても、ツアー客よりも個人旅行客の方が多いですね。

西田: 我々が乗り入れているところは、ガイドさんが旗を持って「こちらですよ」というようなツアーはほとんど皆無の国なので、いわゆる個人旅行を受け入れていただくのが一番我々にとっては助かりますね。なくなってほしいのは、2万人の上限と日本に帰国するときのPCR検査などありますが、一番大きいものを挙げるとすれば、海外のパスポートの方の個人旅行です。

―― 個人旅行が解禁されると、需要は大きく伸びると思います。10機まで増える飛行機を、どう活用しますか。どういった路線(地域)を強化していきたいですか。

西田: これまでやってきたことの繰り返しですが、アジアと、米本土ですね。西海岸を中心に広げていくことになると思います。その中で、機材稼働率が非常に高くなるような路線の組み合わせを考えていきます。

―― そこは、芸術的なパズルのような組み合わせがあるわけですね。22年12月に開設される成田-サンノゼ線は6路線目ですが、7路線目はアジアですか。

西田: すでにお話ししている範囲では、台北(桃園)線を準備中です。

―― 17年には台北駅と直通する「桃園メトロ」が開通して便利になりました。ソウル(仁川)便と同様に競合が非常に多そうですね。それでも就航するのは、仁川同様、機材稼働上のダイヤの「パズル」の兼ね合いと、貨物需要が見込めるからですか。

西田: そうです。競合が多いのも事実ですが、需要も非常に大きいです。

―― ZIPAIRは「太平洋越え」を果たしたLCCですが、欧州線の予定はありますか。「パズル」の議論で言うと、ピースがはまらずに非効率になってしまうのでしょうか。

西田: そうなんです。「コロナ前」はフィンエアー(フィンランド)が成田、福岡、札幌の3地点に乗り入れていたのを見て「そんなに余裕があるのか」と不思議に思っていたのですが、調べてみて分かったのは、機材稼働が非常に良い路線だからなんですね。私たちの成田-西海岸路線同様、彼らのヘルシンキ-日本線はコストが低いので、ペイするわけです。

―― ロシアのウクライナ侵攻の影響で、今はロシア上空を飛ばずに迂回(うかい)しているので、機材稼働の面も課題がありそうです。

西田: 今は大変だと思いますね。
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