「端がボロボロになって最悪でした」――昔ながらの汗などをぬぐう布「手ぬぐい」の通販ページにこんなレビューが寄せられたと、手ぬぐいデザイナーが嘆いた。
新品の手ぬぐいの端はほつれてしまうもの。使い続けていくうちに落ち着くが、近頃は知らない人も多いという。
「それが手ぬぐいなんです!」
繊維製品製造卸の宮本(大阪市)で、手ぬぐいのデザインを手掛けるツイッターアカウント「みやもとのはせがわ」さんは2022年7月25日、次のように呟いた。
「ちらっとAmazonの手ぬぐいレビュー見たら『端がボロボロになって最悪でした☆1』みたいな方がたくさんいらっしゃって『それが手ぬぐいなんです!』って叫びたい気分。ずっと言い続けてはいるけど...どうしたらみんなに伝わるんだろう。誰か力を貸して」
続くツイートでは、手ぬぐいについて次のように説明する。
手ぬぐいは、生地の端が縫製されていないもの。使い始めたばかりの手ぬぐいからは、糸が飛び出てくるが、切り取って良い。何度も洗濯を繰り返していくうちに糸は出なくなる。長すぎる糸だけカットし、端を整えるときれいなフリンジ状になる。
生地端が切りっぱなしになっているため、タオルやハンカチに比べて乾く時間が短く、蒸し暑い夏でも速乾。さらに早く乾く影響で、雑菌が繁殖しづらく、生乾きの匂いも軽減されるという。
はせがわさんの投稿は29日までに1万2000件のリツイート、1万3000件を超える「いいね」が寄せられる大きな反響があった。一連のツイートには「知らなかった」「すごく勉強になった」と驚く声が寄せられている。
J-CASTニュースは2022年7月29日、はせがわさんに手ぬぐいとタオルの違いなどを取材した。
「手ぬぐいは育てるもの」
はせがわさんによれば、手ぬぐいとタオルの大きな違いは「端が縫われているかどうか」だという。生地の厚みや種類も様々で、特定の生地でできたものを指すわけではないそうだ。
また、手ぬぐいは使うことで魅力を増すという。はせがわさんは「手ぬぐいは育てるもの」だとして、こう話す。
「タオルは使い続けるとごわごわと固くなりますが、手ぬぐいは柔らかくなります。 伝統的な型染め技術『注染』で繊維の奥まで染色している手ぬぐいは、色味もプリントしたものと比べて風合いが柔らかです。使い続けることで肌触りが良く、優しい風合いになります」
手ぬぐいは、梅雨や真冬の洗濯物が乾きにくい季節はもちろん、汗をぬぐう夏にも活躍する。ランチョンマットやプレゼントを包む包装紙代わりとして使われることも多い。さらに切りっぱなしで問題ないため、好きなサイズに切り取って使うこともできる。
はせがわさん自身、就職してから手ぬぐいの魅力に気づき、今では手ぬぐいを使っているという。
「普通にハンカチ代わりに使っています。ジムやホットヨガ、スポーツをする時に持っていて良かったです。汗をかいてびしゃびしゃになってもすぐに乾きますし、タオルと比べて薄手で荷物がかさばりません」
手ぬぐいは、デザインの幅の広さから女性を中心に人気だという。近頃は子育ての場面でも注目を集めており、食べこぼしカバー(スタイの代わり)や、好みのサイズに裁断して子ども用ハンカチにするなど多様な場面で役立つそうだ。
ちらっとAmazonの手ぬぐいレビュー見たら「端がボロボロになって最悪でした☆1」みたいな方がたくさんいらっしゃって「それが手ぬぐいなんです!」って叫びたい気分。ずっと言い続けてはいるけど…どうしたらみんなに伝わるんだろう。誰か力を貸して。#tenugui #手ぬぐい
— みやもとのはせがわ (@LLQlOoAQ1fg6z3L) July 25, 2022