「ひどいですよ、日本の新聞とテレビは」 旧統一教会問題で弁護士が苦言「特定の宗教団体としか言わない」

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   霊感商法の問題に取り組む紀藤正樹弁護士らが2022年7月29日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題について記者会見し、メディアの報道ぶりについて言及する場面があった。

   政治家と旧統一教会との関係について、メディアの間で報じ方に濃淡があることに関する質問に答えた。紀藤氏は「全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」と望みをつなぐ一方で、会見に同席していた山口広弁護士は「日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています。何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか」。この状態が若者のテレビ離れにつながっているとして「本当にこのままだと絶望」だと嘆いた。

  • 旧統一教会の問題に取り組む弁護士3人が記者会見を開いた、左から紀藤正樹氏、山口広氏、川井康雄氏(写真は日本外国特派員協会の配信動画から)
    旧統一教会の問題に取り組む弁護士3人が記者会見を開いた、左から紀藤正樹氏、山口広氏、川井康雄氏(写真は日本外国特派員協会の配信動画から)
  • 旧統一教会の問題に取り組む弁護士3人が記者会見を開いた、左から紀藤正樹氏、山口広氏、川井康雄氏(写真は日本外国特派員協会の配信動画から)

「最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」

   記者の質問は、旧統一教会と政治家、とりわけ安倍晋三元首相の家族との関係について「日本テレビやTBSはかなり積極的に報じている一方で、NHK、朝日新聞、テレ朝は非常に消極的」などと指摘した上で「米メディアから、日本のメディアはちゃんと報じていないと言われている」ことへの見解や、今後起こりうる影響について尋ねる内容。

   紀藤氏は「それは正直いって、よく分かりません」。その上で、次のように述べた。

「どんな報道でも、最初に(事件が)起こり出すときは、どこかのテレビ局が先鞭をつけて、最終的に全テレビ局やマスコミが報じだすとか、そういうことは過去にもあったので、私は特に特殊な状況だと思っていません。やはり、事実、真実というのは、状況を押し流していくというふうに、信念を持って思っているので、おそらく最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」

   そこに「ひとつだけ」と割って入ったのが山口氏で、「私はもう、日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています」。横に座っていた紀藤氏もうなずいた。山口氏がとりわけ問題視したのが、「旧統一教会」の固有名詞を報じるタイミングが遅かったことだ。

「何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか。月曜日(7月11日)に、Unification Church(旧統一教会)が記者会見するまで。もうとっくに外国の新聞では、Unification Churchの問題を言ってますよ。あるいはネットにはたくさん流れてますよ」

「だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを」

   その上で、新聞とテレビの読者・視聴者離れを嘆いた。

「ひどいですよ、日本のこの新聞とテレビは。だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを。そんなにひどいです。ですから私は、本当にこのままだと絶望だと...だから紀藤さんとは年が違うから(編注:紀藤氏は1960年、山口氏は1949年生まれ)考えが違うんですが、本当に悲しいですよ」

   政治家による旧統一教会系団体への祝電や集会出席に続く論点になりそうなのが、資金提供の問題だ。米国では90年代半ばに政治家に巨額の資金提供があったことが報じられており、紀藤氏は「お金の問題については日本も同じことが起きている」とみている。資金の流れを具体的に立証できるかが焦点だ。

「統一教会というのはできるだけ銀行送金とかクレジット、通帳を使わない、できるだけ現金でもらうというシステムなので、現金が統一教会に溜まっている。それが証明できれば、つまり政治家との関係が証明できれば、それは贈収賄とかそういう問題になると思う。(これまで立件されていないのは)過去それが証明できていないということを意味するのだと思う。今、関係性がいろいろ議論されているが、お金がどう動いたかは今後の焦点になっていくのではないか」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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